「フェデラー王」のご帰還だ。今季19勝1敗、35歳の情熱は枯れない (2ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by AFLO

 そのフェデラーが35歳を迎えた今、ふたたび、テニス界を席巻している。

 昨年2月にはひざの手術を受け、7月以降はリハビリとトレーニングに徹するためすべてのスケジュールをキャンセルした彼は、以前よりもさらにショットバリエーションを増やし、果敢にネットを取る速攻型のテニスに磨きをかけて、今年1月にコートに復帰。いきなり全豪オープンを制して多くの人々のノスタルジックな感動を喚起したが、それが一過性の輝きではないことを、彼は今回の「サンシャイン・ダブル」で証明した。

 今季のフェデラーの、ここまでの戦績は19勝1敗。これは、2006年以来の好スタートである。

 果たしてテニス界の「時計の針」は、巻き戻されたのか――?

 いや、決してそうではないだろう。

 インディアンウェルズの決勝でフェデラーに敗れたスタン・ワウリンカ(スイス)は、表彰式のスピーチで声を詰まらせ、涙を流した。その後に設けられた会見の席で、彼は「とてもつらい敗戦だった」ことを認めたうえで、こう続けている。

「35歳の彼がこのレベルのプレーをしていることは、もうすぐ32歳になる僕に希望を与えてくれている。ロジャーは史上最高の選手だ。

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