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「フェデラー王」のご帰還だ。
今季19勝1敗、35歳の情熱は枯れない (5ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by AFLO

 では、フェデラー自身は、何を見ているのだろうか? 背を追われる彼にとって、この競技に存在するすべての栄光と記録を手にしたように見える彼にとって、まだ追うべき標的は存在するのだろうか?

 誰もが抱くその疑問には、フェデラーの次の言葉が、おそらくはひとつの解を示している。

「勝っているときは、すべてが金色に輝き、美しい。特に、試合でスーパーショットを決めたときは最高の気分になれる。僕はいつも、創造性あふれるショットを打とうとしている。すべてのポイントを、自分で決めようと努めている。その結果、いいことが起こると信じてね。

 最近では、バックハンドで以前よりも早くボールを捕らえ、ベースラインからより多くのウイナーが決められるようになった。それがね、楽しいんだ」

 少年のように顔を輝かせ、キャリア通算91のツアータイトルを誇る「史上最高の選手」は、テニスが上達する楽しみを、勝利を追う喜びを、嬉々として語っていた。

 フェデラーのコートへの情熱が枯れることは、どうやら当分はなさそうだ。彼にとってテニスは今でも、まだ見ぬ未知の輝きを秘めた「無限の宝石箱」なのだから――。

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