大坂なおみが18年間を振り返る
「お姉ちゃんこそ最大のライバル」 (6ページ目)
「面と向かって、『勝ったぞ!』って言ってやったわよ」
テニスキャリア最大のライバルを破った日に想いを馳せ、大坂は無邪気な笑みを顔中に浮かべた。
やがて試合一覧が"現在"に近づくにつれ、選考基準は懐かしさよりも、自分がいいパフォーマンスをしたかどうかに移行していくようであった。
その彼女が、「やはり、これよね」と選んだのは、2014年のスタンフォード大会。これは、大坂が予選を勝ち上がり出場した初のWTAツアートーナメントである。しかも、その試合で16歳の少女は、世界19位のサマンサ・ストーサー(オーストラリア)を破る劇的なツアーデビューを飾ったのだ。
ただし、「これはキャリアでもっとも嬉しい勝利?」と問われた大坂は、「いえ、これは2番目。一番嬉しかったのは、お姉ちゃんに勝った試合」と即答したのではあるが......。
「岐阜も大切ね。これは私が、日本で初めていいプレーができた大会だったから」
2015年4月の岐阜大会では決勝まで勝ち上がり、ランキングも200位以内にジャンプアップした。
その後も、決勝に進んだふたつの大会を「思い出の大会」として挙げた彼女は、最後に「そしてもちろん、東レPPO」と、リストの最後に記された大会を指さす。
「だって最近、決勝に行ったばっかりだからね」
そう言うと大坂は、口の両端をキュッと上げて目じりを下げる、いつものはにかんだ笑みを浮かべた。
(後編に続く)photo by TOBI【profile】
大坂なおみ(おおさか・なおみ)
1997年10月16日生まれ、大阪府出身。ハイチ出身でアメリカ国籍の父と、日本人の母を持ち、3歳でアメリカに移住。父親の影響でテニスを始める。2013年にプロに転向し、2014年7月のバンク・オブ・ウェスト・クラシックで初のWTAツアー本選出場を果たす。2016年の全豪オープンでは予選を突破してグランドスラム初出場して3回戦まで進出。その後、全仏オープンと全米オープンでも3回戦まで駒を進める。今年9月の東レ パン・パシフィック・オープンで準優勝。180cm・69kg。10月6日現在、世界ランキング46位。IMG所属。
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