大坂なおみ、弱点克服で
「超高速サーブ」がズバズバ決まった
日本最大のテニス専用スタジアム「有明コロシアム」に"戻ってくる"と、彼女は"ノスタルジック"な想いに襲われるのだと言う。
「ここは他のコートに比べて、もう何度もプレーしている。日本人のお客さんがたくさん来て私を応援してくれるのも、すごく嬉しい」
スタジアムについて語るとき、本人いわく「生まれつき動きにくい」はずの口角がキュッと上がり、目じりがさらにスルリと下がる。快進撃で初のWTAツアー準優勝を果たした大坂なおみ 両親にも「有明コロシアムは私のホーム」と宣言しているほどに想い入れの強い地で、大坂なおみは、自身初となるWTAツアー決勝の舞台(東レ パン・パシフィック・オープン)まで駆け上がった。
戻るたびに郷愁を覚えるスタジアムではあるが、今大会でコートに立つ大坂が胸に抱いていたのは、ノスタルジーではなく、過去から学んだ教訓であり、試合で示したのは、課題を克服した姿である。
本人の成長、過去の悪夢からの脱却、そしてチームとしての総合力――。それらすべてをコート上に描き切った今大会最高の一戦は、2回戦の対ドミニカ・チブルコワ(スロバキア)戦だ。
チブルコワは今季のウインブルドンでベスト8入りし、8月にはトップ10にも返り咲いた実力者。身長は160センチと低いが、それを補う俊足と、いかなる状況でも最後まであきらめずボールを追う闘争心の持ち主だ。その世界12位の小さなファイター相手に、大坂は完璧とも言える「プラン」を用意し、コートに立っていた。
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