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これぞ勝率歴代1位。
錦織圭が真価を示した「ファイナルセット」 (3ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki  photo by AFLO

 フォアの強打を生命線に、"フェルナンド・コール"を背に受けたスペインの熱い男が、第3、第4セットを連取。試合開始から2時間30分を超えた時点で、勝敗の行方はファイナルセットに委ねられた。

 ファイナルセットと錦織......と言えば、すでに彼の代名詞になりつつある、「ファイナルセットの勝率・歴代1位」の肩書きがある。勝率77.8%のデータが心強く光るが、数字は魔法の力ではなく、あくまで実績と根拠を反映しているに過ぎない。

「ファイナルセットに入って、展開を変えなくてはと思っていた。バックの高いところを狙われていたので、それをさせないよう前に入って、ライジングで打つようにした」

 この判断力と適応力、そして戦術変更を実践できる高い技術こそが、勝率77.8%の正体。第5セットのゲームカウント2−2で迎えたベルダスコのサービスゲームで、錦織はコート内に踏み込み、跳ね際を捕らえることで、高く弾むスピンショットの効果を殺す。30オールの緊張の場面から、バックのストレートのウイナーを決め、続くポイントもバックのクロスでブレークに成功。続くゲームでは、この日幾度も悔しい思いをさせられたドロップショットを返して、ついに自らのポイントにしてみせる。徐々に攻め手を失ったベルダスコから主導権を奪い返した錦織は、最後は胸のすくフォアのウイナーで、熱闘を締めくった。

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