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これぞ勝率歴代1位。
錦織圭が真価を示した「ファイナルセット」 (4ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki  photo by AFLO

 かつて錦織に、「まだまだ勝てない選手」との失意を植えつけた元世界7位は試合後、失意と同時に、「世界6位であり、今大会の優勝候補のひとり」とまで認める錦織と善戦したことに、ある種の満足感も示した。

「スタッツを見たが、総ポイント数では僕のほうが勝っていた(154対151)。もし、これがバスケットボールの試合だったら、僕が勝ったわけだからね」

 もちろんベルダスコも、これがバスケットボールの試合ではないことは、重々承知した上での発言。ファイナルセットで勝敗を分けた要因のひとつを、錦織はこう語った。

「トップ選手は、ファイナルに入ったときに落ち着きがあるだろうし、少なからず余力も残している。経験値が上がっている部分もある」

 上がった「経験値」。酷暑のなか、かつては体力ではるかに後れを取ったベルダスコ相手に、終盤でギアチェンジが可能になった心身の「スタミナ」。そして、たとえ総ポイントで負けていても、あるいは勢いで押されていようとも、真に勝敗を分ける数ポイントを確実に取りきる「底力」――。

 相手より少なかった3ポイント......それは逆説的に、錦織圭の成長と、"テニスプレーヤー"としての真価を示す数字である。

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