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流れを掴みながらも敗北。
錦織圭がナダル戦で得た収穫 (4ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki   photo by Getty Images

 錦織の躍動感に満ちた攻撃がナダルを目覚めさせ、ナダルの熱が錦織をも熱くさせる。第2セットは、勢いに乗るナダルが先にブレークするが、錦織も第7ゲームでブレークバックし、反撃の兆しをただよわせた。しかし、続くゲームで錦織はサーブに苦しみ、「セカンドサーブを叩いて、攻撃していこう」と心に決めたナダルに逆襲を許した。

 試合開始から、1時間33分......。豪快にウイナーを叩き込み、最後に勝利を掴み取ったナダルは、オンコートインタビューで開口一番、「ゲームカウント1−3の15−40をしのげたのがカギだった。間違いなく、観客が僕を後押ししてくれた」とファンに謝意を述べる。一方の敗者はうつむき、コートに背を向けるが、観客の声には左手を軽く振って応じた。

 序盤で流れを掴みながらの敗戦を、錦織は大きく悔いているのか、あるいは、ある程度の納得の敗戦だったのか......。それは、試合後の彼の表情から読み取ることは難しかった。

 だが、2週間前のデビスカップで日本のエースの看板を背負い、英国のエース、アンディ・マリーと演じた5時間の大熱戦。そこから休む間もなく、アメリカ西海岸のインディアンウェルズに渡り、これまで4度初戦敗退を喫した苦手のコートでビッグサーバーのジョン・イズナーら難敵を破り、初めて掴み取ったベスト8。そしてナダル戦では、フォアで攻める"彼らしい"テニスに徹し、最初の4ゲームは完全に試合を支配......。これら一連の経験が、収穫だったことは間違いない。

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