2016.03.20

流れを掴みながらも敗北。
錦織圭がナダル戦で得た収穫

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki   photo by Getty Images

 飛び上がり、何度も激しくガッツポーズを突き上げる姿は、まるで勝利を決めたかのようであった――。

 たしかに、そこに到る「ふたつのゲーム」こそが、結果的に試合の行方を決めはした。だが、それが現実になったのは、このときよりさらに1時間ほど後のことである。

観客の声に手を挙げて応えながらコートを去る錦織圭 準決勝の席をかけて行なわれた、錦織圭対ラファエル・ナダルのBNPパリバオープン(インディアンウェルズ)・準々決勝。「最初から攻めようと思っていた。彼(ナダル)のボールも特に序盤は浅かったので、自分から打っていった」と言う錦織の覚悟の攻めが、そして機を見て沈めるドロップショットが、世界5位ながら今季まだ「トップ50」から勝利のないナダルを圧倒する。

 錦織が第3ゲームをブレークし、ゲームカウント3−1で迎えたナダルのサービスゲームでも、ふたたび大きなチャンスは訪れた。15−40と2本のブレークチャンスを掴み、続く打ち合いでも錦織のバックの強打がナダルをコーナーに追い詰める。力ない返球を狙い澄まして、オープンコート目がけて放ったフォアの一打。しかし、黄色いボールは乾いた音を立て、ネットの5センチほど下を叩いた。次のポイントでも錦織のフォアはラインを割り、結果的にナダルが第5ゲームをキープする。