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伊達公子を抜いたクルム伊達公子。「まだやめるつもりはない」 (4ページ目)

  • 神仁司●文・写真 text & photo by Ko Hitoshi

 今、クルム伊達は再びモチベーションを上げて、双眸(そうぼう)を未来に向けている。

「右側大転子の滑液包炎で(現役を)やめるのは、どうも踏ん切りがつかなかったんです。半分冗談で、半分本当ですけど」と振り返るクルム伊達に、引退という選択肢はなかった。

「ランキング云々より、自分の納得できるテニスがもう一度できるまでは、やめるつもりはないです。今は、突き進めるところまで行こうかなという覚悟ができています」

 誰もが認める厳しい状況に置かれているにもかかわらず、クルム伊達は現役再チャレンジを始めた頃のような明るい笑顔を見せた。クルム伊達の精神的な強さを、あらためて感じずにはいられない。この逆境に挑戦する姿勢こそ、クルム伊達の真骨頂なのだろう。
 
 クルム伊達の現役再チャレンジは、まもなく7周年を迎える。7年8カ月(1989年3月~1996年11月)の伊達公子時代のキャリアと年月で並ぶことも十分ありうる。

「気持ちの面では、前の方がタフですけど、フィジカルやテクニックは、今の方がタフ。現在の女子テニスのなかで、(伊達公子のときと)ほぼ同じ年数できているというのは、毎回言っていますけど、奇跡に近い」

 果たして、クルム伊達は、次にどんな奇跡を見せてくれるのだろうか。今の前向きな彼女を見ていると、そんな期待を抱かずにはいられない。

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