検索

神尾米が語る錦織圭「まだ挑戦者のままでいいじゃない」 (5ページ目)

  • スポルティーバ●構成 text by Sportiva  photo by AFLO

 きっとこれからの大会では、今回のように上位選手は潰しにくるし、下位選手はどんどん勝負をしかけてくる展開が増えてくると思います。これは、本当に厳しい戦いですよ。グランドスラムで一度決勝の舞台に行っているので、周囲は「次はいつ優勝?」と考えてしまうかもしれませんが、そんなに簡単なことではないです。

 だから私は、今回ベスト8に入ったことは素晴らしい結果だと思います。とても厳しいドローでしたし、もっとプレッシャーを感じて序盤で負けてしまうことも十分にあり得ました。それを跳ねのけ、シード順を守っただけでも、やっぱり錦織選手は本当にすごいなと思いました。

 今後、錦織選手がグランドスラムで優勝する可能性は十分にあると思いますが、ビッグ4(ノバク・ジョコビッチ、ロジャー・フェデラー、ラファエル・ナダル、アンディ・マリー)が元気なうちに、彼らを倒して上に行って欲しいと思います。挑戦者のまま臨んでいけば、いつかビッグ4の壁も打ち破ってくれるのではないでしょうか。

 今回の全豪オープンを終えてランキング上位4人は、ビッグ4が返り咲きました。でも、それを崩せそうなところも出てきたと思います。だから今、錦織選手はすごく良い状況にいるのではないでしょうか。ビッグ4がいて、それらに勝つ可能性を感じながらも、挑戦者のままでいられるのですから。いきなりトップ4に入ったりしたら、それこそプレッシャーがすごくなってしまいますよね。ですから今年は、まずはプレッシャーに慣れる1年で良いかと思います。我々見てる側も、「すぐ優勝!」と先走らないようにしたいですね。今はこの位置に来たばかりなので、「まだまだ挑戦者でいいじゃない!」という気持ちで見守っていきたいです。


【profile】
神尾米(かみお・よね)
1971年11月22日、神奈川県横浜市生まれ。母の影響で10歳からテニスを始め、東海大学付属相模高校卒業後の1990年にプロ転向。1992年の全豪オープンを皮切りにグランドスラムで活躍。1995年にはWTAツアーランキング24位まで登りつめるが、肩の故障により1997年2月の全日本室内テニス選手権の優勝を最後に25歳の若さで引退。現在はブリヂストンスポーツのイベントで全国を回るかたわら、プロ選手やジュニアの育成に携わっている。WOWOW解説者。


5 / 5

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る