神尾米が語る錦織圭「まだ挑戦者のままでいいじゃない」 (4ページ目)
一方、準々決勝で対戦したスタン・ワウリンカ(スイス)は、昨年の全米オープン準々決勝で錦織選手に敗れているので、ものすごく気合いを入れて挑んでくるだろうなと思っていました。「それがもしかしたら空回りするかも?」と思ったのですが、全然ありませんでしたね。
この試合、ワウリンカはサーブにしても、ラリー戦にしても、錦織選手のフォアサイドを多く攻めていました。恐らくそれは、錦織選手のフォアへの回り込みを嫌がったからではないでしょうか。昨年の全米オープンで対戦したとき、回り込まれた際にどちらのコースに来るか読めなかったから、今回はあえてフォアを狙っているのかな、と思いながら試合を見ていました。
ワウリンカはバックハンドに自信がある選手です。ですので、フォアサイドに錦織選手の意識を集中させて、そこからバックでウイナーを取るという形が多く見られました。そのあたりはコーチたちと話しながら、かなり錦織選手の攻め方を研究していたと思います。また、ワウリンカのストロークが全体的にすごく深く入っていたので、錦織選手は前に出られませんでした。第2セットの終盤くらいから、錦織選手はサーブ&ボレーを多く取り入れて相手のリズムを崩そうとしましたが、ワウリンカは慌てませんでした。精神的にも余裕があったのだと思います。
それでも、あのように最後までワウリンカに食らいつく姿勢を見せたことは大きいし、第3セットは相手も圧力を感じていたと思います。ただ、ワウリンカは2セットを先に取っていたので、ここぞというときに余裕を持って勝負を仕掛けられました。やはり、トップ選手に2セットアップされると、たとえ終盤でもつれても逆転するのはとても厳しくなります。
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