2014.12.15

錦織圭の転機は、全米OP準優勝の2週間後に訪れた

  • 内田暁●構成 text by Uchida Akatsuki photo by AFLO

密着ライターが感じた「2014年、錦織圭が変わった瞬間」(1)

 本来なら、その席に彼の姿はないはずだった。

 今や錦織圭のファミリーボックスでお馴染みの光景となった、ポイントが決まる度にガッツポーズを握りしめる「チーム・ケイ」の面々。4年におよび錦織を指導するアルゼンチン人コーチに、日本人トレーナー、そして、今季から加わった小柄な身体にオーラをまとったアジア人コーチ……。もちろん、その最後の人物こそ、今季の錦織の躍進を支えた、元世界ランキング2位のマイケル・チャンである。蒸し暑い外気が嘘のように冷房の効いたマレーシアのプトラ・スタジアムのコートサイドにも、チャンの熱のこもった姿があった。

マレーシア・オープンで今季4勝目を挙げた錦織圭 9月末のクアラルンプールで開催された「マレーシア・オープン」は、グレードとしては『ATP250』という、ツアーの中で最も低い階層に属する大会である。北米の東海岸ニューヨークで行なわれた「全米オープン」から、わずか2週間。このマレーシア・オープンが錦織にとって、グランドスラム準優勝というキャリア最高の成績を残した後に、最初に挑む大会であった。

 今季から錦織のコーチとなったチャンではあるが、実はすべての大会に帯同しているわけではない。今季の錦織は22大会に参戦したが、昨年末にチャンとの契約を締結した際、交わされたツアー帯同予定数は「17~20大会」。3月末のマイアミ・マスターズにチャンの姿はなかったし、このクアラルンプールにも、当初は来ないはずだったという。

 それでも、チャンはやってきた――。