【テニス】期待の17歳、日比万葉が語る「東京五輪への想い」 (3ページ目)
アメリカに住んでいても、言葉づかいや所作(しょさ)も含め、日比は両親から日本の文化や心を教わってきた。年齢を重ねるとともに英語主体の生活になるのは自然の成り行きだが、弟との会話も英語は禁止。週末は日本の補習学校に通い、正しく美しい日本語を学んでもきた。それでも最後に帰国してから、すでに4年が過ぎている。
近くて遠い、我が母国――。だからこそ、日本開催のオリンピックへの思いは、一層強いのかもしれない。
そんな彼女が、オリンピックと並んで憧れる舞台が、テニスの聖地ウインブルドンだ。
「なんていうか……、ウインブルドンには品があるじゃないですか」
日比は聖地への憧憬(どうけい)を、そう表現した。
その憧れの地に立つためにも、まずは今年の5月中旬ごろまでに、ランキング200位以内に入るのが当面の目標。そうすればウインブルドンの予選出場が確実となり、夢へと一歩近づくことになる。
日比は15歳の時、向こう3年間の目標を紙に書き出し、それを部屋の壁に貼りだした。その最後に書かれた一文は、「3年後 グランドスラムに出られる」。17歳の現時点までの足跡は、見事なまでに、「未来予想図」どおりである。
「もうすぐ目標のリストが期限切れになるから、新しく作らなくちゃ」
2014年最初の遠征を終えてカリフォルニアの家に帰ったら、彼女は自身の未来をつむぎ、それを再び紙に書いて貼りだすのだろう。そこにはきっと、「ウインブルドン出場」の一文があるはずだ。もしかしたら「東京オリンピック」の文字も、どこかに加えられるのかもしれない。
昨年の9月に、ブロードウェイで思い描いた自身の姿――。それは、カリフォルニアやウインブルドンの空を超えて、6年半後の東京へと続いていく。
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