【テニス】期待の17歳、日比万葉が語る「東京五輪への想い」

  • 内田暁●文・写真 text & photo by Uchida Akatsuki

2014年注目のアスリートたち(11)

 世界を駆けめぐったそのニュースを、彼女はニューヨークでミュージカルを観るため、ブロードウェイに行ったときに知った。携帯電話のニュース速報が鳴り、フェイスブックのタイムラインも、その話題で持ちきりだ。

 2013年9月。初めて参戦した全米オープンジュニアの準決勝で悔しい敗戦を喫し、ニューヨークで過ごした最後の夜。

 2020年のオリンピックが、東京で開催される――。

 そのニュースを知ったとき、日比万葉は無意識のうちに、その年に自分が何歳になっているかを計算していた。そして、ふと思う。

「年齢的にも、いいタイミングだな」

 24歳になった自分が、東京でプレイしている姿が、脳裏に浮かんだ。

昨年の全米オープンジュニアでベスト4に食い込んだ日比万葉昨年の全米オープンジュニアでベスト4に食い込んだ日比万葉 日比万葉(ひび・まよ)は、1996年4月3日生れの17歳。職業は、プロテニスプレイヤー。世界ランキング220位。テニスを職業に選び、プロに転向したのは、この2014年シーズンからだ。

 生まれたのは大阪だが、2歳半の時に、父親の転勤に伴いアメリカに移住。以降15年間、カリフォルニア州が彼女の育った土地であり、テニスキャリアを積み上げてきた主戦場でもある。コーチの資格も持つ父親にテニスを教えられ、アメリカの同世代の選手たちとしのぎを削り、技に磨きをかけてきた。

 父親がこよなく愛するテニス選手は、元世界ランキング1位にして、「サーブ&ボレー」の代名詞的存在である、ジョン・マッケンロー。だから日比のプレイスタイルも、自ずとマッケンローに似たものとなる。バックハンドは片手打ちで、サーブ&ボレーも積極的に試みる。テニス会場に行っても、観るのはロジャー・フェデラー(スイス)など、流麗かつ端正なプレイスタイルを持つ男子選手たちだ。

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