ラグビー日本代表に「34歳の司令塔」が帰ってきた 名将エディーはなぜ立川理道を重宝するのか (3ページ目)

  • 斉藤健仁●取材・文 text by Saito Kenji

【PNC決勝の相手はフィジー代表】

 シーズン中のケガの影響もあり、立川がジャパンに合流したのは6月末。矢崎由高(早稲田大2年)といった大学生も招集された若いメンツの第2期エディージャパンに、圧倒的なキャップ数を誇るベテランが加わった。

「日本代表に戻ってくることができてうれしいです。15個下の選手(矢崎)など年齢の差はありますが、練習も含めてハードワークすることが自分の仕事のひとつ。それ以外のところでもサポートなど求められているものがあれば、ひと言、ふた言を言える存在でいたい」

 6〜7月の代表戦を終えてFLリーチ マイケル(ブレイブルーパス東京)が休養のためにチームを抜けると、PNCに向けてジョーンズHCは立川をキャプテンに指名した。

「若手のロールモデルになってほしい。チームのために全身全霊でやってくれる彼を100パーセント信頼している。ハルはチームメイトに接する態度も真摯で、リスペクトしながら厳しいことも要求できる人物」

 指名を受けた立川は、すぐに「(キャプテンを)やります!」と即答したという。

 そしてPNCがはじまると、さっそく持ち前のキャプテンシーを発揮した。ピッチ内外で選手たちとのコミュニケーションを増やし、チームをひとつにまとめあげた。その結束力の強さは、これまでの3連勝の内容にしっかりと表れている。

 9月21日、PNCの優勝がかかった決勝戦の相手はフィジー代表(同10位)に決まった。昨年のワールドカップではベスト8に入った強豪であり、過去の対戦成績は4勝15敗と大きく負け越している。

「サモアに勝てたことは若いチームにとって自信になった。気を抜くことなく、しっかりといい準備をして、フィジー戦を迎えたい」(立川)

 立川は再び日本代表のキャプテンとなった時、こんな話をした。

「2015年、2019年と、いいワールドカップを進んでいきながら、2023年は勝ちきれなかった。だが、土台はできていると思う。遠い先を見ずに、もう一度、勢いを取り戻すべくこの1年、取り組んでいくことが大事かな」

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