ラグビー日本代表に「34歳の司令塔」が帰ってきた 名将エディーはなぜ立川理道を重宝するのか (2ページ目)

  • 斉藤健仁●取材・文 text by Saito Kenji

【ブライトンの奇跡も経験】

 後半も立川は10番としての仕事を全うし、後半22分に交代するまでさらに2トライを追加。最終的にサモアを49-27で下し、決勝進出に大きく貢献した。ちなみに日本はサモアとの通算成績を7勝12敗としたが、このスコアは過去最高得点かつ最高得失点差だ。

「風下のなかでは、自分たちがボールを手放しても一気にキックで返される可能性もあったので、攻撃のプランとしてはボールを動かし続け、スペースに運び、スコアすること。守備も我慢強く守れていた」

 試合後、冷静に振り返る立川に対し、ジョーンズHCは手放しで称賛した。

「スピードのなかでもいい判断ができるし、フィジカル面もよかった。やはり立川理道という選手は、チームに入ると付加価値を与えてくれる。彼がいてくれることで、チームが強くなる」

 2012年から2015年までの第1期エディージャパン体制下において、立川は主に12番として活躍。2015年ワールドカップでは、南アフリカ代表を撃破した「ブライトンの奇跡」もピッチで経験した。

 だが、その後のジェイミージャパンやサンウルブズでもキャプテンを務めていたが、徐々にジョセフHCの構想から外れ、2019年ワールドカップメンバーには選ばれず。2023年ワールドカップに向けた若手中心のチームに招集されたこともあったが、4年間でわずか1キャップに終わった。

 しかしながら、選手として終わったわけではない。2012年に入団したスピアーズでは「バンディエラ」としてチームひと筋でプレーし、精神的支柱として君臨。2022-2023シーズンのリーグワンではスピアーズを初の日本一に導き、シーズンMVPにも輝いた。

 そんな経験豊富でリーダーシップに長けた存在を、指揮官が放っておくはずはなかった。

「(昨季のプレーを見ていて)ハルの『ジャパンでプレーしたい』という熱意・渇望が一番強かった。彼の持っている思いが必要不可欠である」

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