8年後のラグビーW杯出場も夢じゃない! 「花園」でブレイク必至な5人の高校生ラガーマン (3ページ目)

  • 斉藤健仁●取材・文 text by Saito Kenji

【日本代表No.8テビタ・タタフを彷彿とさせる】

 今年の花園では、2年生からも目が離せない。最も注目しておきたい逸材は、長崎県予選の決勝で長崎北陽台と引き分けの末、抽選で3年ぶり7回目の出場となった長崎南山(長崎)のPR本山佳龍(2年)である。187cm、117kgの巨漢で、今年は目標としていたU17日本代表にも選出された。

 本山は小学2年から大村ラグビースクールでラグビーを始めたと同時に、小学4年から相撲もやって九州大会で優勝したほどの身体能力の持ち主。中学時代も抜きん出た存在で、ラグビーでは県選抜で全国準優勝となり、相撲では全国大会ベスト16となった。

 そのため、相撲部屋や相撲の強豪校から誘われ、一時は相撲の道に行こうとしたという。しかし、日本ラグビー協会のユース部門でコーチを務めていた元日本代表FLの野澤武史氏から「君は日本のラグビー界の宝だ」と電話で説得され、最終的にラグビーの道を選んだ。

 本山は「相撲では足の裏以外がついたら負けだが、ラグビーは身体ひとつでバチバチ当たるところが魅力。スクラムが好きです!」と笑顔を見せる。そんな教え子を、長崎南山の久保田一平監督は「素直で研究熱心で努力家」と称える。

 また、2年生では本山のほかに、大阪桐蔭のSH川端隆馬と東海大大阪仰星のFL駒井良も有望株である。

 そして最後にもうひとり、挙げておきたい。6度の優勝を誇る目黒学院(東京第2)のNo.8ブルースネオル・ロケティ(1年)だ。トンガ出身の留学生で、高校の先輩である日本代表No.8テビタ・タタフ(現ボルドー/フランス)を彷彿とさせる爆発力を持っている。

 日本に来てまだ1年も経っていないため、「まだ花園もよくわかっていないし、大阪の場所もわからない」と竹内圭介監督は苦笑する。ただ、ロケティ自身は「自分が活躍しないと勝てない」と責任感が強く、花園出場を決めた時はうれし涙を流していた。

 将来は「日本でプロのラグビー選手になりたいです!」と話すロケティ。8年後のワールドカップでは「桜のジャージー」の中心選手になっているかもしれない。

 今年も花園には全国から将来有望なラガーマンが集まってくる。将来の15人制や7人制で日本代表になりそうな「キラリと光る原石」を探しながら、年末年始を楽しんでほしい。

プロフィール

  • 斉藤健仁

    斉藤健仁 (さいとう・けんじ)

    スポーツライター。 1975年4月27日生まれ、千葉県柏市育ち。2000年からラグビーとサッカーを中心に取材・執筆。ラグビーW杯は2003年から5回連続取材中。主な著書に『ラグビー『観戦力』が高まる』『世界のサッカーエンブレム完全解読ブック』など多数。

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