リーチマイケルの「34歳とは思えない」パワーでチリ粉砕 イングランドとの大一番で再び「奇跡」を起こせるか?
ラグビーワールドカップ(W杯)フランス大会で「ベスト4以上」を目標に掲げるラグビー日本代表(世界ランキング14位)は、現地9月10日に予選プール初戦を迎えた。
開幕戦の相手・チリ(同22位)はワールドカップ初出場国。ただ、今回の予選ではワールドカップ常連のカナダやアメリカ代表を粘りのラグビーで倒して出場権を獲得しており、十分に実力のあるチームだ。
日本の選手たちも声を揃えて「初戦のチリ戦が一番難しい」と言っていただけに、どのようにして試合の主導権を掴んでいくかに注目が集まった。
リーチマイケルは攻守にわたってチームに貢献この記事に関連する写真を見る しかしながら前半6分、大応援団の声援に背中を押されたチリに日本ディフェンスの隙をつかれ、いきなりワールドカップ初トライを許してしまう。
ただ、日本はこの状況でも、至って落ち着いていた。
「どんどん相手ゾーンに入っていって、スコアを狙いにいくというプランだった」(SO松田力也)と言うように、相手の反則後にPG(ペナルティゴール)を狙わず、タッチに蹴ったりスクラムを選択したりするなど積極的にトライを求め、プレッシャーをかけていく戦略を取った。
※ポジションの略称=HO(フッカー)、PR(プロップ)、LO(ロック)、FL(フランカー)、No.8(ナンバーエイト)、SH(スクラムハーフ)、SO(スタンドオフ)、CTB(センター)、WTB(ウイング)、FB(フルバック)
その後はチリの激しいディフェンスにプレッシャーを受けてミスする場面もあったが、新星LOアマト・ファカタヴァが2トライ、エース格に成長を遂げつつあるWTBジョネ・ナイカブラが1トライを挙げて、前半を21-7で折り返すことに成功した。
後半は中盤からキックをうまく使ったことで、試合のペースを完全に握ることができた。
終盤はチリの動きに疲れが見えてきたこともあって、さらに3トライを奪取。松田がゴールを6本全部成功させたことも功を奏し、終わってみれば42-12で快勝した。しかも「4トライ以上」のボーナスポイントを加え、勝ち点5を獲得できたことは次に向けて大きい。
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著者プロフィール
斉藤健仁 (さいとう・けんじ)
スポーツライター。 1975年4月27日生まれ、千葉県柏市育ち。2000年からラグビーとサッカーを中心に取材・執筆。ラグビーW杯は2003年から5回連続取材中。主な著書に『ラグビー『観戦力』が高まる』『世界のサッカーエンブレム完全解読ブック』など多数。