李承信「韓国籍だが、日本人でも韓国人でもない」 在日コリアンのためにもワールドカップは「出場しないといけない」 (4ページ目)

  • 斉藤健仁●取材・文 text by Saito Kenji
  • 説田浩之●撮影 photo by Setsuda Hiroyuki

── 個人として、ワールドカップで対戦したい選手はいますか?

「誰と対戦したいかと聞かれると難しいですが......でも、イングランド代表には昨年の秋に対戦した時、フィジカルやコンテストキックでプレッシャーを受けて本当に悔しい思いをしたので、ワールドカップ本番でイングランド代表戦にかける思いは強いです」

── 日本代表が予選プールを突破するために、何がカギになると思いますか?

「チームとして現状に満足せず、どれだけハングリーでいられるか......だと思いますね。イングランド代表もアルゼンチン代表も当然、ジャパンを潰そうとしてくる。でも、相手はどこか構えている部分があると思うので、そこに対して闘争心を剥き出しにして、どれだけチャレンジできるかがワールドカップを通して大事なことだと思います」

── もしワールドカップに出場することができたら、どんなプレーをしたいですか?

「もしワールドカップの舞台で試合ができたら、すごく幸せなことだと思います。1試合1試合に集中して、自分の強みであるアグレッシブなランやキックパスを思う存分、表現したいです」

── 李選手のランやキックパスに注目してほしいと。

「ジャパンラグビーのよさはやっぱりアタッキングで、どんどんボールを動かすところにあると思います。でかい世界の強豪相手に対し、どれだけ全員がハードワークして粘り強く勝てるか。それは日本代表にしかないよさだと思っています。そのなかで自分のラン、キック、パスのスキルを発揮し、どんどんリードしていきたいです」

── 最後にワールドカップへの思いを聞かせてください。

「最初は『出たい!』という自分の気持ちが強かった。ですが今では、家族や神戸のファンなど周りの人に支えてもらい、いろんな場所で『ワールドカップでの活躍を期待しているよ』という声をかけてもらうたびに、『応援してくれる人のために出場しないといけない』という思いに変わりました。開幕が近づけば近づくほど、その思いは固く、強いものになっています」

<了>


【profile】
李承信(り・すんしん)
2001年1月13日生まれ、兵庫県神戸市出身。大阪朝高→帝京大に進学後、ニュージーランド留学のために中退。コロナ禍によって渡航は叶わず、2020年に神戸製鋼コベルコスティーラーズ(現コベルコ神戸スティーラーズ)の一員となる。日本代表歴はジュニア・ジャパンを経験したのち、2022年6月のウルグアイ戦で初キャップを獲得。ポジション=SOスタンドオフ。身長176cm、体重85kg。

プロフィール

  • 斉藤健仁

    斉藤健仁 (さいとう・けんじ)

    スポーツライター。 1975年4月27日生まれ、千葉県柏市育ち。2000年からラグビーとサッカーを中心に取材・執筆。ラグビーW杯は2003年から5回連続取材中。主な著書に『ラグビー『観戦力』が高まる』『世界のサッカーエンブレム完全解読ブック』など多数。

4 / 4

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る