パナソニックワイルドナイツの歯車を狂わせたのは何だったのか...3連覇の夢は国立で散る (2ページ目)

  • 斉藤健仁●取材・文・撮影 text & photo by Saito Kenji

【堀江翔太が語った王者の敗因】

 一方、反撃の糸口を探りたいアタックでも、前半8分にはゴール前でノックオンを犯し、前半21分のチャンスでもスクラムを落とすなど、なかなか得点につなげられない。ワイルドナイツの伝統「堅守速攻」でカウンターを仕掛けるが、簡単なミスで何度も好機を失った。

「相手のプレッシャーは強かったが、自分たちで焦りすぎたところもあった。決勝という大きな舞台で、ひとつのミスが次のミスを生んだ。負のスパイラルの時間帯があった。個人プレーも多かったので、もう少しつながりたかった」(坂手)

「(国立競技場という)いいスタジアムでの決勝の舞台で、一人ひとりがいつもよりちょっと足をためる(出るタイミングを調整する)のが速くなったりしてパスが通らなかった」(松田)

「前半は規律が守れていなかったし、トライのチャンスも何個かあったが取れなかった。相手がどうこうより、自分たちから崩れてしまった」(SH=スクラムハーフ内田啓介)

 ワイルドナイツの選手は皆、いつもと違うミスの多さを悔いていた。

 名将ロビー・ディーンズ監督は「3連覇という言葉は使っていない。連覇は過去のこと。この1年、このチームのメンバーで、目の前の努力が大事になってくる」と選手たちに話していた。だが、メンタル的に少なからず「勝てるのでは......」との油断はあったのかもしれない。

 ワイルドナイツの精神的支柱であるHO堀江翔太はこう語る。

「前半は3本くらい(トライを)取れるところはあったが、決勝の舞台で(連覇の)プレッシャーを感じていたのかな......。個人的に(3連覇の)先を見ちゃった人がいたかもしれない。やっぱり、ラグビーはメンタル競技な部分がある」

 ただし後半のワイルドナイツは、ディフェンディングチャンピオンらしいプレーも見せた。

 堀江、PR(プロップ)クレイグ・ミラー、SO山沢拓也といった国際経験豊富なリザーブメンバーを投入した後半18分、モールを押し切って堀江がトライ。さらに後半25分、今季好調のフェーズアタックがやっと機能し、最後は山沢から長田に絶妙なパスが通ってトライを奪い、15-12と逆転に成功した。

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