ラグビー早大、完敗「どうにもならない差があった」帝京大との差を埋めるために、残された後輩たちがやるべきこと (3ページ目)

  • 斉藤健仁●取材・文・撮影 text & photo by Saito Kenji

【『荒ぶる』を歌いたかった】

 早稲田大は昨季、帝京大や明治大に敗れた経験を糧に、春からポジションごとに体重を設定し増量し、フィジカル強化に取り組んだ。元日本代表PRの仲谷聖史コーチの下、じっくりとスクラムの強化も図った。

 だが、相良主将が「帝京大が頭ひとつ抜けていた。1年間ではまだ足りない、どうにもならない差があったのかな」と話すように、帝京大との力の差は埋まらなかった。また、相良主将やHO(フッカー)佐藤健次(2年)、SO(スタンドオフ)伊藤大祐(3年)といった主力がケガから癒えたばかりで、個で打開できる選手が少なかったことも大差につながった要因だろう。

 帝京大との差を埋めるために、どうすればいいのか──?

「この2年は攻撃に比重を置いて練習してきました。それをアタックかディフェンスに比重を振るなど、極端な何かをしないといけない。(この点差は)選手たちはショックだったと思う。だが、それでも何か得られるものを探して、いろんなことがダメだったかもしれないが、残したもの、手に入れたものにフォーカスしてやっていかないといけない」

 試合後に聞かれた大田尾監督は、声を絞り出すようにこう答えた。

「自分たちの代でも『荒ぶる』を歌いたかった」という相良主将は、ノーサイドの瞬間、「早稲田大のキャプテンとして、こんな大差で負けてしまい、申し訳なかった」と思ったという。

 そして最後に「昨季よりは成長したし、やってきた成果は確実に出ていると思う。1対1でしっかり止めきるコリジョンなど明確な課題はあると思うので、それを修正して頑張ってほしい」と、残された後輩たちにエールを送った。

 今季の大学ラグビーは、連覇を達成した帝京大の強さが際立ったシーズンだった。

「来季、決勝の舞台に戻ってやり返したい。(帝京大とは)フィジカルの差もあると思うので、もう一度、自分たちを見つめ直したい」

 来季3年生になる佐藤が語気を強めたように、早稲田大の後輩たちはリベンジを誓い、国立競技場を去った。

【筆者プロフィール】斉藤健仁(さいとう・けんじ)
スポーツライター。 1975年4月27日生まれ、千葉県柏市育ち。2000年からラグビーとサッカーを中心に取材・執筆。ラグビーW杯は2003年から5回連続取材中。主な著書に「ラグビー『観戦力』が高まる」「世界のサッカーエンブレム完全解読ブック」など多数。

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