ラグビー帝京大の「怒涛の攻撃」が止まらない。合計11トライで相手を粉砕し、大学日本一まであとひとつ (2ページ目)

  • 斉藤健仁●取材・文・撮影 text & photo by Saito Kenji

【早稲田との最終決戦に向けて】

「東海大戦の疲労は回復できていたが(帝京大と)試合をやっていくなかで、こんなにつらいんだと思った。(前半途中から)受けはじめてしまった。(相手のフィジカルに押されて)前にボールを運べないもどかしさがあった」

 筑波大の中軸であるNo.8(ナンバーエイト)谷山隼大(3年)も完敗を認めた。

 帝京大の看板選手である主将・松山とSO(スタンドオフ)高本幹也(4年)に加え、1学年下の江良と奥井は、2018年度の「花園」全国高校ラグビー大会で大阪桐蔭が初優勝した時にメンバーだ。松山と高本は高校・大学合わせて7年間、同じチームで一緒にプレーしてきた。

 4年生の松山と高本は卒業後、リーグワンでは別々のチームに加入する。決勝戦が最後の試合となることについて、松山は「やっぱり寂しいですね......」と正直に吐露した。

 下級生ふたりも、彼ら先輩への想いは強い。江良は「(ふたりの先輩と)最後の試合が決勝なのはうれしくて光栄なことなので、もう1回、最後に笑えるように頑張りたい」と語気を強め、奥井は「松山主将は熱い漢で、信頼できるキャプテン。高本さんはゲームメイクしてくれるし、チームを支えている。高校でも日本一になったので、大学でもう一度、ふたりを日本一にしたい!」と意気込んだ。

 1月8日の決勝戦の相手は、準決勝で京都産業大(関西リーグ1位)との接戦(34-33)を制した早稲田大(対抗戦3位)。今季の対抗戦では、帝京大が49-17で早稲田大に快勝している。

 今季、コーチから指揮官に昇格した帝京大・相馬朋和監督は、最終決戦に向けてこう語る。

「試合を重ねるなかで、チームは成長すると思います。なので(対抗戦で対戦した)早稲田大とはまったく違う相手と思って対戦するつもりです。過去は過去のこと。目の前のことに全力を尽くしたい」

 今季無敗のまま決勝に駒を進めた帝京大。連覇に向けての気持ちを聞かれた松山主将は「自信はあります。やるしかない」とまっすぐ前を向いた。

 心身ともに充実した帝京大は、最高の準備を整えて決勝戦に臨む。

【筆者プロフィール】斉藤健仁(さいとう・けんじ)
スポーツライター。 1975年4月27日生まれ、千葉県柏市育ち。2000年からラグビーとサッカーを中心に取材・執筆。ラグビーW杯は2003年から5回連続取材中。主な著書に「ラグビー『観戦力』が高まる」「世界のサッカーエンブレム完全解読ブック」など多数。

2 / 2

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る