父は74代、息子は105代主将の早大ラグビー親子鷹。相良昌彦「赤黒ジャージーを着てもう負けたくない」 (2ページ目)

  • 斉藤健仁●取材・文・撮影 text & photo by Saito Kenji

【父が果たせなかった夢】

 相良は父の影響で小学校2年から兄(隆太/三菱重工相模原ダイナボアーズ)とともに競技を始めた。中学校時代は主にWTB(ウィング)としてプレーし、体重も60kgほどで体型は「ガリガリだった」という。

 高校はスポーツ推薦で早稲田実業に進学。「足もそんなに速くなかった」ことを理由に、父と同じFWのバックロー(フランカーやナンバーエイトの総称)へ転向する。高校3年時はキャプテンとしてチームを引っ張り、1937年以来82年ぶりの花園出場も果たした。

 早稲田大入学後は1年生ながら大学選手権決勝でトライを挙げるなど、ルーキーイヤーで優勝に貢献。ジュニアジャパンにも選ばれ、現日本代表SO(スタンドオフ)の李承信(リ・スンシン/神戸スティーラーズ)とともに共同キャプテンも務めた。

 そして大学4年生となった今季、「覚悟はしていた」と本人が自覚していたとおり、105代目のキャプテンに任命される。昨季から指揮を執る大田尾竜彦監督は相良について「リーダーシップに長けていて、飾らない言葉で選手にストレートに伝えられる選手」と期待を寄せた。

 74代キャプテンだった父・南海夫も、チームが行き詰まっているような時などは、たまに助言をくれるという。

「試合前の気持ちの持って行き方や、残り時間が少なくなった時の過ごし方など、いろいろとアドバイスをくれます」

 父がキャプテンを務めた時、早稲田大は大学選手権ベスト4で敗退した。息子はこう語る。

「僕がキャプテンの時は優勝したいな、という思いはありますね。1年の優勝時は歌詞をあまり覚えていなかったので、やはり自分の代で『荒ぶる(※早稲田大が日本一になったあとにのみ歌える第二部歌)』を歌いたい気持ちは強い」

 大学でも随一のBK陣を誇る早稲田大だが、昨季は帝京大や明治大に負けたことを踏まえ、今年の春から「体を大きくすること」をテーマに掲げて、相良自身も体重を100kg近くまで増やした。また、今季から仲谷聖史コーチの下、スクラムを鍛えて夏はディフェンス練習も特化した。

「対抗戦から選手権に向けて、チームが伸びているという感覚があります。でも、伸びるためには一人ひとりの自覚が必要。味方に頼らず一人ひとりが戦えるチームが本当に強いし、相手も嫌だと思います。今までとは違うチームになっている」

 相良が自信を持って言うように、日本一奪還に向けて上り調子であることは間違いない。

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