釜石で起きた大きな奇跡。不屈の精神でウルグアイと市民が歴史を創る (3ページ目)

  • 松瀬 学●文 text Matsuse Manabu
  • photo by Kyodo News

 青い空と白い雲、濃緑の山々に囲まれたスタジアム、群青色の海、緑色のピッチ。自然と融合したスタジアムの雰囲気は牧歌的で心地いい。観客席の一番上のVIP席から遠くを見つめながら、新日鉄釜石ラグビーのV7戦士、日本ラグビー協会の森重隆会長は「8年半前を思い出して...」と感慨深そうだった。「何もないところを、こんなにも人が集まる場にしてくれたみんなの努力に敬意を表したい。感謝以外の言葉が浮かばない」

 スポーツ庁の鈴木大地長官は早めにスタジアムに入り、周囲を歩いて回った。鵜住居駅前の東日本大震災犠牲者の慰霊・追悼施設「釜石祈りのパーク」も訪ね、募金もした。「胸が熱くなりました」と打ち明けた。

 いずれにしろ、復興を考えれば、釜石鵜住居復興スタジアムをW杯後、どう活用していくのかがより、重要なこととなる。ラグビーの合宿や試合に限らず、音楽などのフェスティバル、多様なイベント...。日本ラグビー協会のプロリーク構想に併せ、釜石SWの完全プロチーム化も検討の余地がある。

 釜石の市街地にあるファンゾーンには、こんなポスターが貼ってあった。キャッチコピーはこうだ。

<続く未来に胸張れるよう。>

<前よりいい町にしてやる。>

<夢は勝つ。かならず勝つ。>

 不屈なのだ。前へ。ウルグアイも釜石も。悲しみを乗り越え、新たなスタジアムが歴史をつなぐ。ラグビータウンの伝説がまた、はじまった。

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