吉田義人が演出。W杯の伝説トライ
「クロヒョウになると念じていた」 (3ページ目)
――1991年のラグビーW杯の舞台はどうでしたか。
「最高の舞台でした。もう人生の宝物ですよね。財産じゃないですか。どれだけお金を積んでも買えないものを経験させてもらったと思います。結局、ラグビーは人に選ばれて代表になるスポーツなんですよ。僕は、多くの人が評価してくれたから代表になれたわけです。めぐり合わせもあるでしょう。代表になって、チャンスをつかんで、自分なりのパフォーマンスを出せたんです。自分を成長させてくれた舞台だったし、新たな目標と課題を与えてくれた舞台でした」
――当時のジャパンとしての課題は。
「絶対的にフィジカル面でした。パワーですね。コンタクトで、要は強豪国と日本の選手のボディコントロールというのが全然違いました。コンタクトした時のからだのさばき方ですね」
――あれから28年。外国出身選手も多く加わったこともあり、日本代表のフィジカル面は随分アップしました。秋のラグビーW杯では日本代表にどんな期待を。
「まずは、多くのみなさんが思っているように、ベスト8に入れるかどうかが一番の関心事でしょう。僕も、それを期待しています。前回のワールドカップでエディ(ジョーンズ=ヘッドコーチ)が日本のプライドを創り上げてくれました。正々堂々と戦って、3勝(1敗)しました。普通なら決勝トーナメントにいけるはずが、勝ち点差でいけませんでした。じゃ、4年後の今年の日本代表はどうなんだろうと。さらに成長して、しかも母国でやるという"地の利"もあります。多くの国民が直接、応援してくれます。もう、これでベスト8に行けなかったら、日本のラグビーが完全に衰退していくと思います。それだけ、大事な大会なんです。だから、ベスト8は絶対、行かなきゃいけないでしょう」
――ベスト8進出のポイントは。
「それは全試合ですが、とくに初戦のロシア戦が大事ですね。ロシアもラクな相手ではない。強いし、大きいし、バックスもスキルフルなプレーヤーがいます。チームとして非常に伸びています。もともとセブンズ(7人制ラグビー)が強かった。セブンズが強いと、15人制にもつながるところがありますから」
――ロシアはフォワードも強力です。
「とにかくボール争奪戦で負けたら苦しくなります。日本代表はフォワードがロシアと真っ向勝負をして完全に主導権を握るべきです。我々が(1991年大会で)スコットランド、アイルランドに感じたように、"日本は強い"とロシアに思わせることです。"日本のフォワードは崩れそうにない"ってね」
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