釜石鵜住居復興スタジアムが完成。レジェンドたちも「想い」をつなぐ

  • 松瀬 学●文 text Matsuse Manabu
  • 谷本結利●写真 photo Tanimoto Yuuri

 無数のカラフルな大漁旗が潮風に舞う。「カーマイシ」の大声援が沸き上がる。2019年のラグビーワールドカップ日本大会で唯一の新設会場、岩手県の釜石鵜住居(うのすまい)復興スタジアムがついにオープンした。

 オープニングマッチとして、あの日本選手権7連覇の新日鉄釜石ラグビー部の流れを汲む釜石シーウェイブス(SW=トップチャレンジリーグ)が、上位リーグにあたるトップリーグの強豪、ヤマハ発動機に挑んだ。ゲーム・スローガンは「つなぐ」だった。桜庭吉彦ゼネラルマネジャー兼監督が説明する。

白熱した試合を見せた釜石シーウェイブスとヤマハ発動機白熱した試合を見せた釜石シーウェイブスとヤマハ発動機

 「釜石の歴史をつなぐことでもあるし、震災という過去と未来をつなぐことでもある。また試合を見にきた人たちの気持ち、あるいは心をつなげたいと。そう思って、選手たちに話をしていたんです」

 19日の日曜日。黙とうの後、記念試合が始まった。両チームの闘志とプライドが激しくぶつかる。スクラムで劣勢に回った釜石SWだが、からだを張ったタックル、ブレイクダウンでよくファイトした。ノーサイドのホーンが鳴った後、ペナルティキックの速攻からつなぎにつないで左隅にトライを返し、24-29と詰め寄った。

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