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サンウルブズ開幕6連敗。それでもW杯へ、
チームは成長しているのか (2ページ目)

  • 松瀬学●文 text by Matsuse Manabu
  • 齋藤龍太郎●写真 photo by Saito Ryutaro

 ラグビーはリズム、テンポの競技である。課題のディフェンスにしても、基本線として一斉に前に出てはいるのだが、部分的に出すぎたり、下がりすぎたり、チームとしての一体感に欠けるのである。リズムがどうも悪い。

 これはキーになる選手の見極め、判断、周りの対応力に負うところが大きい。バラつくとスペースが生まれる。ここをラン、パスのスキルの高いワラタス選手に突かれた。

 しかも個々のタックルも時折、甘くなった。豪州代表の巨漢ウイング、195cm・123kgのナイヤラボロに何度も爆走を許したが、こういった選手も体を張って止めなければ勝機はなかろう。

 そもそも、サンウルブズは来年のラグビーW杯に向けた日本代表の強化のためにある。だから、参入3年目の今季は日本代表のジェイミー・ジョセフヘッドコーチ(HC)が指揮を執る。『W杯ベスト8入り』を目指すジェイミーHCは「強化が必要なのはセットプレーと防御」と宣言していた。

 もちろん日本代表のベースとはいえ、サンウルブズと代表は似て非なるものである。でも勝敗はともかく、日本代表につながるチームの成長が求められるのである。

 2015年W杯での日本躍進の原動力となったのはセットプレーである。スクラムとラインアウトである。サンウルブズにあっても、とくにスクラムは武器のひとつとなっている。

 試合後、記者と選手が交わる薄暗いミックスゾーン。スクラム強国、ジョージア代表であるサンウルブズのフッカー、ジャバ・ブレグバゼが直立不動で興味深いことを言っていた。

「日本がここまでスクラムにこだわるのは知らなかった。驚いた。シンさんがすばらしい指導をしている」

 シンさんとは「スクラム命」の長谷川慎コーチのことである。スクラム練習では、まるで精密機器のごとく、足の位置から、手のバインディング、肩の入れ方、体の合わせ方、押すタイミングまで微に入り細を穿(うが)つ指導をしている。

 この日のスクラムはマイボールが7本で1本、相手に押された。相手ボールは11本で1本、サンウルブズが押し勝った。全体としては優勢だった。

 スクラムの見せ場は後半の中盤、敵陣ゴール前のスクラム合戦だった。相手ボールのスクラムを押し崩して、コラプシング(故意に崩す行為)の反則を誘発した。もう一丁、スクラム。またも反則をもらい、またまたスクラムを組んだ。でも、これは逆に押し込まれてボールを奪われた。

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