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ラグビー男子セブンズ、「世界」に再昇格。五輪メダルへ望みをつなぐ

  • 斉藤健仁●取材・文 text by Saito Kenji
  • 谷本結利●撮影 photo by Tanimoto Yuuri

 自陣から100メートルほど、チーム一丸となってボールをつなぎ、最後は7人制ラグビー(セブンズ)男子日本代表のエース、シオシファ・リサラが右隅に飛び込んだ。その瞬間、あまりの劇的な展開に満員の香港スタジアムは興奮の坩堝(るつぼ)と化し、選手たちも歓喜に沸いた。

コアチーム昇格大会で優勝を果たした男子日本代表メンバーコアチーム昇格大会で優勝を果たした男子日本代表メンバー「勝ててよかったとホッとしました。世界(の強豪)と戦わないことには自分たちのレベルアップはないので、やっとスタートラインに立てたのかなと思います」

 4月6日~8日、香港セブンズと同時に行なわれた来シーズンのワールドシリーズ・コアチーム昇格大会。ラストプレーで劇的なトライを奪ってドイツを19-14で下した後、しみじみとそう語ったのは、キャプテンを務める小澤大だ。

 セブンズの男子日本代表と言えば、2016年のリオ五輪で「オールブラックス」ことニュージーランドを下し、メダルまであと一歩となるベスト4進出の快挙を達成したチームである。

 しかし、リオ五輪後はもがき苦しんでいた。

 2020年に東京五輪というビッグイベントが控えているにもかかわらず、昨シーズンは強化が思うように進まなかった。日本のトップリーグや大学とシーズンが一部重なった事情もあり、F1のように世界10ヵ国を転戦するセブンズ世界最高峰のサーキット大会「ワールドシリーズ」の序盤は、メンバーの半数を大学生で戦わざるを得なかったからだ。

 ゲームメイカーのひとりである合谷(ごうや)和弘が「ワールドシリーズを経験して世界のレベルがわかった」と振り返るように、全10大会すべてに出場できるコアチームで戦い続けることは、2020年を考えるうえで大きな意味合いを持つ。シーズン中盤から五輪経験者がメンバーに戻ってきたが、昨シーズンは総合ポイントで15チーム中最下位に沈み、コアチームから降格する憂き目を見た。

 ただ今回、日本は名誉か不名誉か、3度目のコアチーム昇格を果たすことができた。もし昇格大会で優勝できていなかったら、東京五輪でのメダル獲得は非常に難しいものになっていたに違いない。コアチームに入れなければ世界の強豪と戦う機会が2020年まで数えるほどしかなくなり、試合で歯が立たなくなってしまう姿が容易に想像できるからだ。

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