今季全敗。スーパーラグビーで苦戦する
サンウルブズの存在意義とは? (3ページ目)
さらに、ジャパンと兼務する日本人スタッフも、たしかな手腕を発揮した。日々の練習計画を練る田邉淳コーチは、日本代表と同じ攻撃陣形を用いながら、ボールの運び方など試合ごとにマイナーチェンジ。敗れはしたが、3月12日のチーターズ戦では、多彩な角度でパスを交えてトライを演出するなど、計31点を奪ってみせた。
スクラムに関しては、ヤマハで実績を積んできた長谷川慎コーチがまとめ上げた。時折、巨漢が揃う相手に押し込まれながらも、自軍のボールでは成功率100パーセントを誇った。
このように明るい話題もあるサンウルブズに、長年のラグビー愛好家たちは熱い声援を送り続けている。彼らは日本代表の底上げという大義を知るだけに、「今年は勝敗を度外視する」といった声も聞こえてくる。
しかし、一方でサンウルブズはプロのクラブチームである。チケット収入が運営を左右するだけに、「勝敗を度外視」とは言っても、やすやすとそれを受け入れるわけにはいかない。
また、現在スーパーラグビーではチーム数の削減を検討中だという。来季は南アフリカ、オーストラリアのクラブが絞られ、参加数は18から15に変わる見通しだ。サンウルブズは契約上2020年まで参加できることになっているが、そのときまで今のような状況が続けば、それ以降についての議論が上がっても不思議ではない。
サンウルブズは第7節を秩父宮で迎える。相手は第4節で敗れたブルズだ。本拠地でのリベンジマッチに際し、フルバックの松島幸太朗(サントリー・サンゴリアス)は次のように語る。
「いい試合をしよう、ではなく、勝ちたいという気持ちをより出していきたいです。ニュージーランドのチームを相手にしても、怯むのではなく、楽しむということを形にしていきたい」
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