【ラグビー】日本代表のスピードスター福岡堅樹、世界を駆ける (5ページ目)

  • 松瀬 学●文 text by Matsuse Manabu
  • 小倉和徳 ●写真 photo by Ogura Kazunori

 人生設計は明確に描いている。医学の道もあきらめてはいない。祖父だけでなく、父は歯科医の医学系の家系。卒業後はラグビーのプロ選手としてトップリーグのチームでプレーし、2019年W杯、2020年東京五輪を目指す。

「そこが僕のラグビーのヤマです。27歳、28歳でしょうか。その後、医学部に入って、6年間勉強して、2年ほど研修して、30歳代半ばでドクターになるのです。順調にいけば、ですけど」

 心に残る祖父のコトバがある。「偉そうに聞こえてしまうニュアンスがあるので」と口にするのをはばかったが、しつこく聞けば、小声でこう、明かした。

「『能力を持って生まれてきた人間は必ず、その能力を社会に還元しないといけない』というコトバです。“オマエには(スポーツと学問)どちらもやれる力があるのだから、それを社会に還元しなさい”と」

 つまりは、イギリスでよくいう『ノーブレス・オブリージュ(noblesse oblige)』である。恵まれた才能と環境に生まれた真のエリートは率先して社会への責任を果たす義務があると。そして、モットーが故スティーブ・ジョブス氏の「Stay hungry, Stay foolish.(ハングリーであれ、愚か者であれ)」である。いつまでも、向上心と謙虚な気持ちを持ち、新鮮な気持ちで何事にも挑戦していくという意味と説明する。

――改めて今年の目標は?

「まず、ワールドカップに出ること。スタメン(先発メンバー)になること。その試合でトライを挙げて、勝利に貢献することです。そして、ベスト8に進むことです」
 
――夢は?

「ラグビー選手として、(2019年の)日本のワールドカップを成功させたい。そのためにも今年、日本が勝たないといけない。そこに自分は貢献する。ラグビーを辞めた後はドクターになることです」

 さあ、世界に羽ばたけ。リアリストはまっすぐ己のスタイルを貫く。まだ22歳。献身と挑戦の1年がはじまる。

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