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【ラグビー】フィジカルも戦術も進化。帝京大『狙って』大金星!

  • 松瀬 学●文 text by Matsuse Manabu
  • 高見博樹●写真 photo by Takami Hiroki(T&t)

 これぞ、大学選手権6連覇の底力か。ノーサイド寸前。泥んこの赤いジャージの束が、NECの攻撃をことごとくつぶしていく。最後は猛タックルからペナルティーキック(PK)をもぎ取った。

 これを蹴り込んで、31-25。年ごとにレベルアップしてきた帝京大がとうとうトップリーグの牙城を崩した。2006年に早大がトヨタ自動車を破って以来の快挙。スクラムハーフの流大(ながれ・ゆたか)主将は両手を突き上げた。

「すごく充実して楽しい80分間でした。最後もやる気と楽しさを感じながら、ディフェンスができました。(全部員の)142人でこの試合にフォーカスし、1年間やってきた結果です」

後半35分、帝京大・尾崎晟也(左)がインゴールで ボールを押さえてトライ。試合を決めた後半35分、帝京大・尾崎晟也(左)がインゴールで ボールを押さえてトライ。試合を決めた

 8日の日本選手権1回戦(東京・秩父宮ラグビー場)。冷たい雨中戦である。前日夜のミーティングで、岩出雅之監督は「負け犬になるな!」と檄を飛ばした。「戦わないで、尻尾をまいて逃げるのは負け犬と違うか。勇気を持って、向かっていかないといけない。そうすれば、"イケる"のが見えてくるぞ」と。

 もちろん、これも学生たちの成長に手ごたえをつかんでいるからである。トヨタにはね返された1年前と比べれば、個々のフィジカルやフィットネスは確実にアップしている。スクラムが強くなり、スピード、展開力も磨かれた。なんといっても、接点、ブレイクダウン(タックル後のボール争奪戦)がパワフルになった。

 もう、社会人に気後れすることもない。最初のタックル、最初のランから、帝京大はNECに襲いかかっていった。ディフェンスでは、FWもきっちり肩を相手にあて、押し込んでいく。174cm、81kgの1年生ウイング、尾崎晟也(せいや)とて、195cm、125kgのリーグ・トライ王、ネマニ・ナドロにひるむことはなかった。同監督が笑顔で続ける。

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