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【ラグビー】フィジカルも戦術も進化。帝京大『狙って』大金星! (2ページ目)

  • 松瀬 学●文 text by Matsuse Manabu
  • 高見博樹●写真 photo by Takami Hiroki(T&t)

「ファーストプレーから、様子をうかがわないで挑んでいく。それが去年から一番、チームが変わったことです。そこに我々の心の成長とプレーの自信が一番、集約されているのではないかと思います」

 先行されても、流主将は「体を当てた感触として、全然イケると感じていました」という。その言葉通り、コンタクトエリアの猛ファイトが帝京大のリズムを作っていく。大学生相手では経験のない同点(17-17)での折り返しも、同主将はこう、感じたそうだ。

「クロスゲームで勝ち切ることを頭に描いていたので、これはイケると思った。後半も最初から力を出していこうと言い合った」

 成長の跡が見えたのは、特に「修正力」「対応力」である。例えば、スクラム。泥田のようなグラウンドで足元が滑りやすいとみるや、8人がよりしっかりと固まるようになっていった。ラインアウトのミスで苦しむと、ディフェンスでFWが体を張った。相手のモール対策も功を奏した。

 ブレイクダウンで、相手の反則が目立ったのも、相手より肩を低く入れて、突き上げることを意識したからである。プロップの森川由起乙(ゆきお)の説明。「胸で当たっていくと絶対勝てないので、しっかりと肩で突き刺さっていくことを徹底したのです」

 勝利を決めたのが、23-20からあげた後半35分のトライだった。スピード豊かな連続攻撃を仕掛け、流が右足でインゴールにゴロキックを転がし、ウイング尾崎がこれを押さえた。相手の戻りが1人に対し、帝京大は4人が駆けこんだ。思惑通り、NECの選手は足に疲労がたまっていたのだろう。

 狙って奪った、トップリーグ勢からの"金星"である。昨季までは「勝てればいいなあ」という程度の選手の心境だったのが、今季は「勝てるぞ」という自信に変わっていた。昨年のトヨタ戦で敗戦の悔しさを味わい、今季も「大学選手権連覇」と「打倒TL(トップリーグ)」を目標に掲げてきた。だから、大学日本一では満足はしなかった。

 TLに勝つためのスケジュールを組んできた。大学選手権の決勝からの1カ月間も、昨季より練習は内容の濃いものだった。しかも、昨季はやらなかったTLとの練習試合を行なった。控え主体のサントリーに勝った。これが大きかった。

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