【ラグビー】日本代表のスピードスター福岡堅樹、世界を駆ける (4ページ目)

  • 松瀬 学●文 text by Matsuse Manabu
  • 小倉和徳 ●写真 photo by Ogura Kazunori

 W杯のあとにはセブンズ(7人制)の2016年リオデジャネイロ五輪アジア予選がある。憧れのオリンピックにつながるステージ。

「ワールドカップのあと、セブンズに呼んでいただけるなら、そっちにももちろん、参加したいと思っています」

 ファンは、セブンズでも福岡の快走を見たいに決まっている。ポイントは体の状態と、日本協会の15人制とセブンズのすみ分け次第ということになろう。昨年の春はセブンズ日本代表として活躍した。日本のワールドシリーズ昇格にも貢献した。

――セブンズのおもしろさは?

「ひとりひとりの間合いの広さでしょうか。その分、勝負ができる。自分のスピードが直接生かせる。さらには、自分より上のスピードの連中がいる世界でなかなか戦ったことがなかったので、それがすごく新鮮なんです。そして、休みがまったくないので。基本的にはいつもトップスピードで走らないといけない。(セブンズと15人制は)似て非なるもの…。セブンズの感覚に慣れていると、15人制に戻ったら違いを感じます」

 結局は、15人制とセブンズの両立を目指すということか。やはり五輪は魅力なのだ。2008年北京五輪の時にテレビで見た男子100mのウサイン・ボルト(ジャマイカ)の衝撃がよみがえる。

――来年のリオ五輪は?

「ぜひ、行きたいです。(五輪は)スポーツ全体の頂点のイベントだと思います。そこに出られるのは、アスリートとして名誉なことだと思うのです」


将来は、日本代表から初の医者に
「ノーブレス・オブリージュ」

 現実主義者である。『文武両道』を大事にする。子どもの頃から、尊敬する医者の祖父の影響を受け、医学の道を志してきた。大学の医学部入学には失敗し、2012年、筑波大の情報学群に合格した。ラグビーに打ち込みながら、学業にも全力疾走を旨とする。修得単位はほとんどクリアしている。あとは卒業研究。研究室への配属は決まっている。「コンピュータービジョン研究室」。テーマは「画像認識工学」にする計画である。

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