【ラグビー】アメフトとの二刀流に挑戦。
山田章仁が目指す「ダブル日本代表入り」

  • 松瀬学●取材・文 text by Matsuse Manabu
  • 井田新輔●撮影 photo by Ida Shinsuke

ラグビーとアメフト、それぞれの国内トップリーグでプレイする山田章大ラグビーとアメフト、それぞれの国内トップリーグでプレイする山田章大
 このワクワク感はなんだ。新型モデルのスポーツカーの発表会を見るかのようだった。"ニュー山田章仁"(パナソニック)のパフォーマンスである。

 9月1日のラグビートップリーグのパナソニックvsリコー(秩父宮)。白色ジャージのWTB山田の胸板はぶ厚くなっていた。体重が昨年から5kgアップの88kg。2本のダイビングトライはともかく、変幻自在、相手スペースを見つける感覚と抜く技術が磨かれたのだろう、ランに幅ができていた。

 実は春からアメリカンフットボールに挑戦している。日本のスポーツ界のトップでふたつの競技を掛け持ちするケースは稀である。とくにトップリーグでは初めてであった。

 まず社員契約だったら、絶対にこんなことはできない。山田がプロ契約選手で、しかもパナソニック側の理解がないと成立しないことだった。もちろん、選手にはかなりの覚悟と意志が求められる。

 素朴な疑問。なぜアメフト挑戦を、と聞けば、山田は答えた。

「昨シーズン、結果を残せませんでしたが、アスリートとして成長できたのは実感できていた。自分をもっといろんな人に見てもらいたいという思いもあったからです」

 昨季、トライゲッター山田の数字は寂しかった。ケガもあって、トップリーグでのトライ数は2010年度の「13」から「5」に激減した。日本選手権決勝ではメンバーから外された。一見、不完全燃焼でも、もがき苦しみながら階段を上っていた。新たに何かに挑戦したい、との意欲が頭をもたげる。

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