【ラグビー】サントリーの連覇はあるか? 10年目のトップリーグを占う

  • 加藤康博●文 text by Kato Yasuhiro
  • 井田新輔●写真 photo by Ida Shinsuke

昨季、サントリーの優勝に大きく貢献した南アフリカ代表のSHデュプレア昨季、サントリーの優勝に大きく貢献した南アフリカ代表のSHデュプレア 8月31日、ラグビートップリーグの10年目のシーズンが幕を開ける。11月に日本代表の欧州遠征のため、1カ月の中断期間をおくが、1月6日まで14チーム総当たりのリーグ戦を戦い、その後上位4チームによるプレイオフトーナメントで優勝が争われる。

 まず注目すべきは昨季の王者、サントリーサンゴリアス。今季、エディ・ジョーンズ(現・日本代表監督)からチームを引き継いだ大久保直弥監督は「すでに優勝は過去のこと。新たな気持ちでチャレンジする年になる」と決意を示す。前監督が構築した超攻撃的な「アグレッシブ・アタッキング・ラグビー」を継承するために、春からフィジカルの強化を徹底して行なってきた。「準備は十分にできたと思う。すべての選手が昨季以上に質の高い動きができるはず」と期待を寄せる。スピードと運動量だけでなく、FW8人の合計体重も20キロ近く増加した。昨季のリーグ戦13試合での得点はリーグ最多の512。日本代表9人を擁し、今年も攻撃力で他を圧倒しそうだ。

「ストップ・ザ・サントリー」に燃えるのは昨季2位に終わったパナソニックワイルドナイツ。昨年は日本選手権決勝でもサントリーに苦杯を喫し、シーズン無冠に終わった。日本代表のSH田中史朗、HO堀江翔太がニュージーランドの地区代表選手権のITMカップに挑戦中のため、シーズン序盤は苦戦が予想されたが、それを補うかのようにニュージーランド代表のスターであるCTBソニービル・ウィリアムス(愛称、SBW)を獲得した。抜群の身体能力に端正なマスク。タックルを受けても体勢を崩しながら味方にボールを渡す「オフロードパス」がSBWの代名詞だ。そのトリッキーなプレイで戦力面でも人気面でも起爆剤となれるか注目したい。

 過去5度のリーグ優勝を誇る東芝ブレイブルーパスも昨季は3位。ここ2年はタイトルから見放されている。目指すスタイルは、タックルを受けてもそれをものともしないで突き進む「スタンディングラグビー」であり、タックル後のボール争奪戦での激しさを徹底的に追及する。昨季のトライ数72はリーグ最多、そして173失点はリーグ最少とリーグのトップに立ってもおかしくない数字を残した。「今季はそこに勝つためのマネジメントを取り入れていく」と和田賢一監督は勝利へこだわった戦い方をすると強調する。こちらも日本代表を6名抱え、タイトル奪還に並々ならぬ意欲を示している。

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