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【ラグビー】
震災から1年半。復興のシンボル、釜石SWの新シーズン

  • 松瀬学●取材・文 text by Matsuse Manabu  志賀由佳●撮影 photo by Shiga Yuka

今シーズンから釜石SWに加入した伊藤剛臣。元日本代表の大ベテランが復興のシンボルであるチームのために走る今シーズンから釜石SWに加入した伊藤剛臣。元日本代表の大ベテランが復興のシンボルであるチームのために走る 釜石シーウェイブス(SW)が開幕戦を勝利で飾った。試合後、フィフティーンがバックスタンドの前に整列した。

 まだ暑さは厳しい。西日を浴びた大漁旗が9本、風に舞う。日本代表キャップ(国代表戦出場数)「62」を誇る名FW、"タケさん"こと伊藤剛臣(たけおみ)もゆっくり頭を下げた。

「こんな遠くまで応援に来てもらって、感謝の気持ちでいっぱいです。あの大漁旗を、グラウンドの中から見られるのは幸せですわ。昭和生まれの41歳としては。ははははは」

 あごから、汗が滝のように流れ落ちる。もう足腰はふらふら。でも久しぶりの心地よい疲労感に酔う。笑みがこぼれる。

「やっぱりラグビーは甘くない。きついですわ。最近、体が動かないので、口ばっかり動かしていたんですが、今日の最後は体も口も動かなくなりました」

 トップリーグの下部組織、トップイーストの開幕戦である。9月8日の熊谷ラグビー場。相手がヤクルトだった。

 まだ炎天下の午後3時キックオフ。汗でボールが滑るのか、両チームともハンドリングミスを連発した。前半7-7。だが後半、釜石SWはしっかり体を当てにいった。後半5分、ラインアウトからのモールを押し込んでトライを奪う。俄然、動きにリズムが生まれた。厳しいタックルで相手の前進を封じ、早い球出しからボールをつないでいく。

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