【ラグビー】円熟のアタッキング。
日本代表強化につながるサントリーの優勝 (2ページ目)
つまりは「修正能力」である。パナソニックが素早く前に出てくる「ラッシュ・ディフェンス」でくると見れば、パスの回数を減らし、密集のそばをついていく戦法をとった。激しいコンタクト、速いサポートを心がけた。
ブレイクダウン(タックル後のボール争奪戦)で優位に立てば、サントリーの速いテンポが生きてくる。後半は一転、南アフリカ代表のSHフーリー・デュプレアのキックを織り交ぜ、相手を揺さぶった。
モールにしてもそうだ。パナソニックFWには核のホラニ龍コリニアシとダニエル・ヒーナンがケガでいなかった。ならば、押せる。そう踏んだ。まるで東芝のごとく、珍しくラインアウトからのドライビングモールで2本のトライをもぎとった。
1本目(前半36分)のトライはゴール前のラインアウトに5人を、2本目(後半20分)のそれは6人を並べた。いずれもフランカー佐々木隆道がキャッチし、SHの位置にいたフランカーのジョージ・スミスがボールに絡んでいった。そのままグリグリ押して、スミスがインゴールに押さえこんだ。
MVPに輝いたスミスが言う。
「結束の勝利です。みんなが自分の役割をしっかりやったから勝つことができました」
たしかに素材は充実していた。デュプレアにしても、スミスにしても、世界トップクラスの選手だけれど、性格もまじめなのだ。追加練習では日本人選手を指導し、チーム全体のレベルを押し上げた。
例えば、佐々木だ。フィジカルが強くなり、ジャッカル(ブレイクダウンで相手ボールを奪取するプレイ)がうまくなった。
どだいサントリーは驚くほど、練習をする。社員選手は朝6時からの早朝練習に1時間取り組んだ後、スーツに着替えて出社する。さらに練習前のウエイトトレーニング、全体練習、追加の個人練習。つまり「4部練習」である。44選手中、プロ選手は11人。
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