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【ラグビー】「早慶明」のいない大学選手権4強は、好ゲーム必至の実力派揃い! (2ページ目)

  • 向風見也●文 text by Mukai Fumiya
  • 井田新輔●写真 photo by Ida Shinsuke

 その天理大と戦うのが、5年ぶりに国立に戻ってきた関東学院大だ。かつては総合力の高さで大学ラグビー界に君臨し、1997年~2006年度まで10年連続して選手権の決勝に進出。その間、2度の2連覇を含む6度の優勝を果たした。しかし2007年度、部員の大麻事件が発覚し、チームは活動停止を余儀なくされた。その影響から有力選手の入部は減り、選手たちの身体つきも一時期とは見違えるほど小さくなった。活動再開後も選手権は3年連続初戦敗退。常勝軍団の風格を失いかけた感があった。

 だが今季は走ることに重点を置き、復権を目指した。4年生ロックの後藤駿弥(ごとう・しゅんや)は、全盛期の監督で現部長の春口廣の言葉を今でも覚えている。

「スピード、スタミナ、ストレングスの"3S"。お前たちが勝てるのはスタミナだ」

 春先から走り込みを増やし、スタミナを強化。さらに同校OBで現在はトップリーグのパナソニック・ワイルドナイツのバックスコーチを務める榎本淳平から定期的にアドバイスを受け、技術を身につけた。例えば、榎本とともに自分たちの練習試合の映像を何度もスローモーションで見返し、相手ディフェンス陣の目線に注目した。身長166センチ、体重70キロの小柄なウイング・小林直哉(4年=こばやし・なおや)は、試合で相手の目線が密集している方向を向いていたら、その逆側に走って味方からパスをもらうようになり、それでブレイクのきっかけをつかんだ。その結果、関東大学リーグでトライ王を獲得するまでに成長した。またチーム全体についても、「誰かが(相手守備ラインを)抜けたらサポートにみんなが行けるようになった」と手ごたえを口にする。

 また選手権2回戦の早大戦では、速い展開が得意な相手に対し、ボールを奪い合う局面で圧力をかけ、勝負どころではボール保持する味方を大人数で押し込むモールを多用。走るというぶれない軸を持ちながらも、ビッグゲームではライバル校の分析を行ない、徹底して相手の長所を消す。春口部長のもと、勝者の哲学は忘れていなかった。天理大に対しどんなゲームプランを練ってくるのかにも、注目が集まる。

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