【卓球】早田ひなが張本美和との試合翌日に明かした体の状態 五輪で負ったケガは「『もう完治はしない』と言われている」 (2ページ目)
そんな日本女子の"トップ2"による戦いは、第1ゲームから白熱した攻防が展開された。中国トップ勢にも引けを取らない張本のラリーに、早田は鋭いバックハンドを見舞うなどして最初のゲームを奪取。一方の張本も、第2ゲームの9-9からタイムアウトで熟考し、YGサーブ(逆横回転をかけるフォアサーブ)を使うなどサービスの変化で揺さぶって重要なゲームを取りきった。
そんな両者の戦いは、フルゲームにもつれたところで意外な展開を迎えた。
張本が4-2とリードした時点で、早田はタイムアウト。その後、審判のもとに駆け寄ってメディカルタイムアウト(MTO)を要求し、試合は重要な局面で中断された。その前後に、普段は早田のベンチコーチも務めるフィジカルトレーナーの岡雄介氏が駆け寄り、早田の腕にマッサージを施した。
この中断中、張本はベンチでひとり、身体を動かしながら戦況を見守った。
「リードしているし、このままいけるように。気持ちの部分で左右されないように自分に言い聞かせて準備をしました」
しかし結果的に、その中断は早田に優位に働いた。7-7の同点から4連続ポイントで勝負を決したサウスポーが、注目の日本人対決を制することになった。
早田は試合後、左腕のしびれの症状について明かした。2カ月ほど前の飛行機での移動中に、尺骨神経を圧迫されたことによる症状だという。
7月の「USスマッシュ」ではMTOを使わずに敗退していたこともあり、「後悔していたので、もう1回同じこと(判断ミス)はしたくなかった」と、今回は使用を決断した。
敗れた張本は試合後、涙ながらに審判団からの明確な説明がなかったことや、ベンチコーチも兼務する岡氏が治療を施した点を疑問視するなど、最終ゲームのこのワンシーンは議論を呼ぶことになった。兄の智和も「ナショナルチームの、中立の立場のマスターが(治療を)やるべき」と意見するなど、MTOの課題が浮き彫りとなった。
2 / 3