日本男子卓球の「次世代エース」17歳の松島輝空が覚醒 全日本選手権で張本智和を相手に挑んだ「真っ向勝負」 (2ページ目)
今回の男子シングルスで優勝候補とされていたのは、昨年のパリ五輪に出場したメンバーたち。その筆頭は張本智和(智和企画)だった。昨年10月のアジア卓球選手権では日本勢50年ぶりとなる金メダルを獲得し、同11月の「WTTファイナルズ福岡」でも準優勝と、オリンピックでメダルを逃した苦境から這い上がった。世界ランキングを3位まで上げて2025年を迎えた21歳は、全日本選手権の連覇を狙っていた。
張本は、初戦となった4回戦から安定した内容で順調に勝ち上がっていく。一方で、ライバルに波乱が起きる。2022、23年の優勝者であり、昨年の決勝でも張本とフルゲームの死闘を繰り広げた戸上隼輔(井村屋グループ)が、ノーシードで勝ち上がってきた谷垣佑真(愛工大)に3-4で敗れた。
男子の優勝争いは張本、3年連続で4強入りしたパリ五輪代表の篠塚大登(愛工大)、そして松島と谷垣という新たな構図となった。
【王者・張本相手にも"真っ向勝負"】
松島は準決勝で、国際大会ではダブルスペアを組むこともある張本に挑んだ。特長であるバックハンドやロングサービスを軸に試合を組み立てたが、際立ったのは思いきったフォアハンドでの強打。第1ゲームから張本のレシーブやサービスの隙間を縫ってフォアを打ち込む"真っ向勝負"で攻め続け、8-10のビハインドからデュースに持ち込み逆転。11-13で第1ゲームを奪った。
その後、修正力に長ける張本も第2ゲームでは5連続ポイントなどで優位に立ち、タイムアウトも使いながら9-11で取り返す。しかし、松島の集中力は第3ゲーム以降も切れることなく、YGサービスを使うなど変化も入れながら張本に対応した。
そのゲームを11ー7で取って勝ち越した松島は、第4ゲームでは5-2から後陣に下げられてのラリーをものにするなど勝負どころを押さえ、デュースとなったゲームを勝ち取る。王手をかけて迎えた第5ゲームも11ー7で取り、王者・張本の連覇を阻止して決勝進出を決めた。
初の決勝は、篠塚とのサウスポー対決。立ち上がりから仕掛けてきた篠塚に対しても冷静に対応し、9-9からチキータとミドルへのツッツキで2ポイントを奪い先手を取る。第2ゲームではリードされながら、回り込んでのフォアやサービスエースなどで迫り、再び11-9で奪取した。
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