バドミントン「シダマツ」が全日本初制覇で示したもの 躍動の2024年から新たなステージへ (2ページ目)
迎えた全日本総合選手権。シダマツに次ぐ世界ランキング5位の中西貴映/岩永鈴ペア(BIPROGY)こそ1回戦で棄権となったものの、ともに東京五輪に出場している福島由紀(岐阜Bluvic)と松本麻佑(ほねごり相模原)のペア、渡辺勇大と組んだ混合ダブルスで東京五輪、パリ五輪と連続で銅メダルを手にした五十嵐(旧姓:東野)有紗(BIPROGY)と櫻本絢子(ヨネックス)のペアなど、手強い面々がシダマツの前には立ちはだかった。
全日本総合は、五輪メダリストとして、世界ランク日本勢最上位として、負けられない大会であり、シダマツにとって是が非でもほしいタイトルである。本番を前にして、志田は今大会に向かう率直な思いをこう吐露している。
「自分では思ったよりも感じていないのかなと思っていたんですけど、やっぱり試合前になると『負けられないな』というプレッシャーが少しは出てくることを、ここにきて感じている。立場上仕方がないけれど、そういう立場にあって勝つことができたら、自分たちの成長にもつながると思うので、そこは前向きにとらえてやっていこうと思っています。
もちろん全日本総合のタイトルは獲りたいですが、それ以上に、五輪が終わってから難しい状況が続くなかで、ここまで頑張って走りきってきたので、2024年の最後を笑って終われたら、と。"シダマツ"としても集大成だと思うので、頑張りたい」
1回戦から3回戦までは順当に勝ち進んでいったシダマツだったが、準決勝で2024年の日本ランキングサーキットを制した大竹望月/髙橋美優ペア(BIPROGY)を相手に苦戦。第1ゲームを先取されると、第2ゲームも19対19まで持ち込まれた。
しかし、土壇場で粘りを見せたシダマツは第2ゲームを21対19でモノにし、第3ゲームも21対15で勝利。ゲームカウント2-1と逆転勝ちを決めた。「(実力の)『30%しか出せていない』と言われるような試合をしてしまった。でも、このままで今年は終われない。(2024年)最後(の大会)だから、本当に全部を出しきって楽しもう」(志田)と、ふたりの思いを共有できたことで、初のファイナル進出につながった。
決勝では、五十嵐/櫻本ペア相手に第1ゲーム21対5、第2ゲーム21対19、ゲームカウント2-0で勝利。シダマツが、日本のトップペアであることをあらためて証明して見せた。
「昨日の試合(準決勝)では、自分たちのいいところを全然出せずに終わって悔しさが残った。ですから今日(決勝)は、今年最後の試合で『全部を出しきろう』という思いで、一歩も引かずに自分がすべて仕掛けにいくような気持ちで入った。相手も強くて苦しい場面はいっぱいありましたけど、終始引かず、常に前を向いて最後まで戦いきれたところは本当によかったと思う」(志田)
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