12歳からマレーシアで単身スカッシュ修行 渡邉聡美が日本を飛び出して世界5位のトッププロから学んだこと (3ページ目)
【世界1位の選手の技術を盗みたい】
── そしてマレーシアでの5年間の留学を終えて、帰国後の2017年に18歳で全日本チャンピオンとなりました。
「決勝の相手は、小林海咲さんでした。実は、前年に決勝進出した時も相手は海咲さんで、ファイナルゲームにもつれ込んでマッチポイントまで握ったんですけど、最後はひっくり返されて負けてしまったんです。その時は大号泣しました。
だから今年は、海咲さんの海外での試合や松井千夏さんのプレーなどを片っ端から見て、相手を研究しました。そういう意味では、メンタルの準備がしっかりできていたのかなと思います。スポーツでは技術も重要ですが、メンタルのアップダウンで結果が変わることも多いので。
試合が終わった瞬間、もちろん優勝はうれしかったですけど、海咲さんに『本当におめでとう!』って声をかけてもらった時は、思わず涙がこぼれちゃいましたね」
── 渡邉選手の得意なプレーや武器は?
「パワーショットが私の武器なので、パワーとスピードで押してチャンスボールを引き出します。そしてチャンスボールが来たら、タメを使ってクロスや相手のいないエリアに打ち込むのが得意ですかね。まだまだ磨きをかけている最中ですけど。
世界ランキング1位のエジプト人選手も、相手の逆を突くショットがすごくうまいんです。その技術を盗みたい。1位の選手に追いつき、追い越せるようにしたいですね」
── 今年3月には世界ランキング4位のベルギー人選手に初めて勝利し、日本人過去最高の世界ランキング13位まで上がってきました。
「海咲さんの過去最高位が29位だったことを考えると、ここからが本当の勝負、スタートラインだと思います。世界ランキング10位より上に行くためには、毎大会ランキング上位の選手に1回か2回は勝たなければなりません。
ロサンゼルス五輪までの残り日数を逆算すると、メダルを目指すにはそれまでに世界のトップ3に入らないと。だから、まず2024-25シーズンで世界ランキング10位以内に、そして次のシーズンでは5位以内を目指さないと、オリンピックのメダルは難しいと思っています。
トップ選手と渡り合える実力がついてきた、という手応えはあります。あとは、まだ安定してパフォーマンスを発揮できていないので、それが今の課題です」
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