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「ハリケーン・ヒラノ」の呼び名が誕生。
平野美宇が中国トップ3撃破の衝撃 (3ページ目)

  • 栗田シメイ●取材・文 text by Kurita Shimei
  • photo by Kyodo News

 終わってみれば、この丁寧戦の勝利は"平野劇場"の幕開けでしかなかった。続く準決勝で、日本勢に対して圧倒的な強さを誇る朱雨玲にストレート勝ち。打点の低さが生む両ハンドからの強烈なドライブで、動揺が見えた"日本人キラー"を圧倒した。

 決勝の相手は、堅実な卓球で現在「世界最強」との呼び声高い陳夢だった。これまで伊藤美誠もシングルスで一度も勝てていない強敵に対しても、平野は強気だった。

 陳夢の精密機械のような卓球を崩し、序盤から3球目攻撃でペースを握る。長いラリーを制して第1ゲームを奪うと、続く第2ゲーム、第3ゲームも連取してストレート勝ち。バックハンドも冴え渡り、最後まで陳夢にリズムを掴ませない完勝だった。準々決勝の丁寧戦から、中国のトップ3を真っ向からねじ伏せての優勝は、世界中に"ヒラノ"の名前を印象づけた。

「今回の優勝はとてもうれしいし、驚いています。3人連続で中国人選手を倒せるとは思ってもいませんでした」

 試合後に平野はそう大会を振り返ったが、その衝撃は中国メディアでも大きく報じられ、「ハリケーン・ヒラノ」の呼び名が誕生した。その名のとおり相手を置き去りにするスピードで、ラリーを制していく姿に卓球大国も脱帽した。アジア選手権以降、平野の高速卓球は徹底的に研究され、王国の牙城を脅かす危険な選手として認識されることになる。

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