NFLプレーオフ開幕。MVP最有力の
韋駄天QBが新時代を切り開く (4ページ目)
そして最後は、3年ぶりのプレーオフとなるグリーンベイ・パッカーズ(13勝3敗)と、チームを率いるQBアーロン・ロジャースに触れたい。
NFCの第2シードを獲得したものの、ロジャースのパフォーマンスは例年のそれと比べると、やや心もとない。数字を見ても、パス4002ヤード・26TDはロジャースにしては平凡だ。パサーレーティングは歴代通算1位(102.4)だが、今季は95.4。クォーターバックレーティングに至っては50.8と低調だった。
ただし、マット・ラフルールを新HC(ヘッドコーチ)に迎えた今季は、もはやロジャースのワンマンチームではなくなっている。これまではロジャースの能力があまりに秀でているために、時に彼に頼り過ぎるきらいがあった。だが、今はランゲームを織り交ぜたり、ディフェンス(平均19.6失点はリーグ9位)の奮闘で勝利を掴むなど、総合力で勝負できるようになっている。
ロジャースといえば、クイックスローと強肩で矢のような中長距離のパスを決めるのが特徴だった。ところが、今季はリスクのあるパスを投げることが少なくなった。また、アーロン・ジョーンズというエース級RBが久々にチームに誕生したことで、着実にボールをランで進められるようになっている。
実際、今季のパッカーズのランプレーの割合は41.8%で2018年シーズンの34.2%から大幅に増えた。一方、インターセプションの数はわずか4つと、ボールのプロテクションもできている。
「勝つために自分が40TDも投げる必要はない。必要なのは、大事な場面でプレーを決めること。そして、より効果的なプレーをすること」
ロジャースはESPNの取材にこう話している。
「史上最高のQB」とさえ呼ばれることもあるロジャースだが、スーパーボウルリングの数は2010年シーズンに獲得したわずか1個。周囲の高評価に優勝回数が伴っていない。現在36歳で、いつの間にか歳も重ねている。ロジャースの力量がレギュラーシーズン以上に問われるプレーオフとなりそうだ。
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