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Tリーグで13戦全勝→初代MVP。
早田ひなの成長ぶりがハンパない (2ページ目)

  • 栗田シメイ●取材・文 text by Kurita Shimei
  • 藤田真郷●写真 photo by Fujita Masato

 日本生命の村上恭和総監督は、その後の早田の様子についてこう述べた。

「あの負け方は、生涯に一度あるかないかという逆転負け。世界選手権の出場がかかっていた選手にとってそのダメージは計り知れません。早田もショックを引きずっており、沈み込んでいた。ただ、その状態から見事に立て直し、(Tリーグのファイナルでは)チームを勝利に導いた。あの負けも含め、早田はこの1年で本当に大きく成長を遂げました」

 ファイナルは「本調子ではなかった」という早田だが、ジャパントップ12での反省が生きた。強打の一辺倒ではなく、ロングサービスやチキータを効果的に織り交ぜ、袁をリズムに乗らせなかった。早田はこう振り返る。

「今日は『この調子でどう戦うか』を意識していました。選考会では同じことをして負けた後悔があったので、『何か違うことをしよう』と」

 ファイナルで見事な対応力と修正力を見せた早田は、Tリーグがスタートしてからの半年間で大きく成長を遂げた。リーグ戦では連勝街道をひた走り、全日本選手権のシングルスでは、伊藤美誠には敗れたものの石川を破って準決勝に進出。伊藤と組んだダブルスでも2連覇を果たしている。さらに、国際大会で海外の強豪を次々と撃破するなど、パワー型の貴重なサウスポーとして存在感を増していった。

 木下の邱建新(チュウ ジェンシン)監督は、対戦相手として見てきた早田の成長をこう評価する。

「ウチの木原(美悠)も経験を積んで伸びたし、石川(佳純)も熟練さが増した。ただ、客観的にもっとも成長したのは早田でしょう。彼女は、Tリーグ開幕当初はそこまで目立つ存在ではなかったと思います。しかしその後、リーグで試合を重ねるごとに成長していった。結果的に、(2月の)ポルトガルオープンで中国の劉詩文(リュウ シブン)に勝つまでの選手になりましたからね」

 早田自身も、Tリーグでの経験が自身に変化をもたらしたと自覚している。

「去年からサーブとレシーブを重点的に強化してきたんですが、練習だけでは『どのタイミングで、どう使うか』が理解しきれませんでした。でも、Tリーグが開幕して試合数が増えたことで、徐々に感覚を掴むことができたんです。サーブ、レシーブを効果的に使えるようになったことで戦術の幅が広がり、成長できたのは間違いないと思います」

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