検索

久保建英の負傷は「代えがきかない」代償も、過度の悲観は不要 復調したチームが復帰を待つ

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki

 1月18日、レアレ・アレーナ。ラ・リーガ、バルセロナとの対決で、レアル・ソシエダ(以下ラ・レアル)は2-1で勝利する殊勲を上げた。得点を決めたミケル・オヤルサバル、ゴンサロ・ゲデスのふたりは目立っていたが、最大のヒーローは、いくつもの決定機を防いだGKアレックス・レミーロだった。

 レミーロがダニ・オルモの決定機をわずかに触ってポストにはじき出し、ロベルト・レバンドフスキのヘディングを腕一本で止めたシーンなどは神がかっていた。余談だが、レミーロはスペイン代表の3番手のGKにすぎず、対するバルサのGKジョアン・ガルシアは代表に選ばれたことがない。その事実に、スペインのサッカーの底知れないレベルの高さが感じられた。

 話を元に戻すと、年明けからペレグリーノ・マタラッツォ監督が指揮を執るとるラ・レアルは、すっかり調子を取り戻している。4戦無敗で、アトレティコ・マドリードには堂々と渡り合い、スペイン国王杯ではオサスナをPK戦で下してベスト8に勝ち進み、バルサも打ち破った。復調は決してフロックではない。

 マタラッツォ監督は就任早々、守備の意識を上げている。球際での強度を上げ、トランジションからのカウンター攻撃の精度も高めてきた。ピッチでの戦いが整理されたことで、各選手が恩恵を受けているのだ。

 その新体制で、久保建英は輝きを放っていた。年明け以降、ゴール、アシストという数字もついてきた。すべてが好転しつつあった。

バルセロナ戦で負傷し、担架で運び出される久保建英(レアル・ソシエダ) photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIAバルセロナ戦で負傷し、担架で運び出される久保建英(レアル・ソシエダ) photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA バルサ戦の68分、前方にダッシュしていた久保は、左太もも裏を押さえながらピッチに崩れた。すぐに交代選手が用意され、担架で運び出されている。その様子から、症状は楽観できない。ハムストリングの肉離れの場合、全治までは軽くて2週間から、2~3カ月と幅がある。

「ワールドカップは大丈夫か?」

 しばらくはそうした報道が先行することだろう。

 しかし、現在の久保を取り巻く環境は決して暗いものではなく、悲観する必要はない。

1 / 3

著者プロフィール

  • 小宮良之

    小宮良之 (こみやよしゆき)

    スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。

キーワード

このページのトップに戻る