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わずか3年でスーパーボウル。
NFLドラ1の地味なQBはスターになれるか (3ページ目)

  • 永塚和志●取材・文 text by Kaz Nagatsuka
  • photo by AFLO

 では、対戦相手はゴフにどんどんプレッシャーをかければいいではないか、と言いたいところだが、アメリカンフットボールはそれほど単純な競技ではない。ゴフの後方にいるランニングバック(RB)のポジションには、リーグ屈指の実力を誇るトッド・ガーリーとC・J・アンダーソンが控えている。相手は彼らの強力なラン攻撃も警戒しなければならず、ゴフばかりに的を絞りきれないのだ。

「プレイアクションパス」と呼ばれる基本プレーがある。QBがRBへハンドオフ(ボールを渡すこと)するふりをしてパスを投げるプレーなのだが、これを使うことでランプレーと勘違いした相手ディフェンス陣が全体的に前がかりとなり、フィールドの奥のスペースにロングパスを通しやすくなる。

 ラムズはRBのラン攻撃も大きな武器なので、逆にこのプレーアクションパスも決まりやすい。ラムズは2017年、2018年とリーグでもっともプレーアクションパスを使ったチームで、今季のゴフのプレーアクション時のパサーレーティングが112.3と高いことからも、その有用性はうかがい知れる。

 ただ、相手はペイトリオッツだ。彼らの強さは、事前に準備したゲームプランを完璧に遂行できるところにある。世界のプロスポーツでもっとも戦力が均衡化されるシステムを誇るNFLにおいて、ここ8年で5度もスーパーボウル出場を果たしているのは伊達ではない。

 たとえば、カンファレンス・ファイナルのチーフス戦。ペイトリオッツは今季50タッチダウンを記録したマホームズを封じるため、変則的なパスラッシュをかけて若きスターQBを混乱させることに成功している。プロキャリアわずか3年目のゴフが、スナップ前にペイトリオッツディフェンスの配置や意図をいかに察し、最適なプレーを選択できるかに注視したい。

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