Tリーグが波乱の幕開け。次々と浮かぶ課題にどう向き合っていくか (2ページ目)

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun
  • photo by YUTAKA/AFLO SPORT

 選手紹介では松平健太(木下マイスター東京)の際、出場していない田添健汰(木下マイスター東京)の画像が表示された。開幕戦で、しかも選手の写真を間違えるなど絶対にやってはいけないミスだが、訂正もなくそのまま終わってしまった。

 これでオープニングが終わったが、正直な印象としては地味。堅いというか、真面目なだけで遊び心がない。周囲の観客からも「すごーい」「おおー」といった演出に圧倒された言葉は漏れてこなかった。プロリーグのオープニングとして、もうちょっとドカンと花火を打ち上げてもよかったなと思う。
 
 すり鉢状の場内の中央に1セットだけ置かれた卓球台。周囲は明かりを落とし、戦うコートだけがライトで浮き上がっている。まるでローマのコロッセオのようでいい感じだ。

 試合はダブルスから始まった。

 水谷は「すごく緊張した」と言ったが、会場の観客も初めてのプロ卓球にどう反応していいのかわからない感じで最初は静かだった。だがダブルスが終わり、シングルスの1戦目、吉村真晴と大島祐哉の試合ぐらいから観客もほぐれてきたのか、選手に声がかかるようになる。

「がんばれ、ナンバーワン」と吉村を応援する子どもの声が響くと、大島の身内なのだろうか、「おおしまー! がんばれー」と大きな声がかかる。

 サッカーやバスケットボール、野球のような一糸乱れぬ応援はないが、素朴で「クスッ」と笑ってしまうような応援が届き、時々小さな野次も飛ぶ。牧歌的で、こういうのもいいなぁっと思った。これからリーグ戦が進めば、ユニフォームを着たサポーターが増え、タオルやマフラーを回すなど、チームごとに応援方法がより洗練されていくことだろう。
 
 試合そのものは、T.T彩たまも木下マイスター東京も主役が登場しているので、単純に面白かった。張本智和の活躍などで木下マイスター東京が3-0で勝っていたが、本当の盛り上がりを見せたのは4試合目の水谷と鄭栄植(チョン・ヨンシク)の試合だ。

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