2012.12.24

【卓球】福原愛・石川佳純。
日本卓球を変えたふたりの天才少女

  • 小川勝●文 text by Ogawa Masaru
  • photo by JMPA

福原愛(写真右)、石川佳純の活躍で、日本卓球界に初のメダルをもたらしたプレイバック ロンドン五輪/女子卓球団体

 4年間待ち望んだ瞬間は、想像もできなかったほど、あっけなくやってきた。コートにいるのは石川佳純と平野早矢香(ひらの・さやか)だった。

 シンガポールのペアはワン・ユエグとリ・ジャウェイ。一昨年の世界選手権団体戦で中国の9連覇を阻んだ強豪国だ。今年3月の世界選手権でも準優勝している。近年、日本はシンガポールに勝っていない。今年2月のアジア選手権団体戦でも敗れている。

 だが、オリンピックの準決勝は驚くべき展開になった。第1試合で福原愛が、シングルスで銅メダルを獲ったフォン・ティエンウェイに3―1で勝利。続いて石川が、世界ランキング11位のワンを3―0で一蹴した。

 続く第3試合のダブルス、石川・平野ペアは2ゲームを先取して、第3ゲームも10―4。あと1点。それで日本卓球界の悲願、オリンピックのメダルが手に入る。石川は少し考えてから、卓球台の下、右手で平野にサインを出した。平野がそれを見てうなずいた。

 ワンがサーブを出した。石川はフォアで払った。ボールはストレートへ。リはそれをバックで返そうとしたが、ラケットが空を切って、ボールは体に当たり、床に落ちた。

 その後に起ったことは、まさにこの勝利が持つ意味を物語っていた。6000人収容の会場が、日本のホームのような歓声に包まれ、平野と石川は抱き合ったまま立ち尽くした。抱擁がほどけて顔が見えると、涙にくれた石川が、ベンチの方を見て手を振った。福原が石川を迎え、ふたりは抱き合った。顔を起して福原が何か言ったが、こみ上げる涙で言葉にならなかった。

「北京で(3位決定戦に)負けてからずっと、ロンドンの準決勝を戦うイメージをつくってきました。ここまで長かった」と福原は言った。石川は「信じられない気持ち。福原さんが第1試合に勝ってくれて、勢いに乗ってプレイできました」と語った。