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NBA伝説の名選手:デリック・ローズ 史上最年少MVPの栄光と度重なるケガとの闘いで人々の心を揺さぶった「シカゴの英雄」 (2ページ目)

  • 秋山裕之●文 text by Akiyama Hiroyuki

キャリアを襲ったケガとの闘い

 ロックアウトのため66試合の短縮となった翌2011-12シーズンも、ブルズはリーグトップタイとなる50勝16敗(勝率75.8%)を記録。前年のプレーオフではカンファレンス決勝で敗退していただけに、"今年こそは"という思いでポストシーズンを迎えたのだが、ローズに試練が襲いかかる。

 フィラデルフィア・セブンティシクサーズとのシリーズ初戦。ローズは左ヒザの前十字靭帯を断裂してしまう。翌2012-13シーズンは全休、2013-14シーズンに復帰を果たすも、今度は右ヒザ半月板断裂に見舞われて手術を受けるため10試合の出場に終わり、その後も足首やハムストリングなどケガに悩まされた。

「僕はいつもアンダードッグ・メンタリティを持ってきた。自分のキャリアがどの位置にいて、どんなことを成し遂げてきたかに関係なくね。それでケガを乗り越えて最高のシーズンを送ろうとしてきたんだ」

 常に謙虚な姿勢でバスケットボールに取り組んできたローズだが、2016年6月にはブルズからニックスへトレード。翌2017年にクリーブランド・キャバリアーズとサインするも、2018年2月には3チーム間トレードでユタ・ジャズへ移籍し、元MVPながらウェイブ(保有権放棄)されるなど苦しい時期が続く。

 だが、シボドーHCが指揮を執るミネソタ・ティンバーウルブズへ加入すると、爆発的なクイックネスこそ失われたものの、ジャンパーや3ポイントに磨きをかけ、巧みなフットワークやハンドリングを駆使して相手を交わす技巧派へ転身。2018年10月31日にはキャリアハイの50得点の大暴れで見事に復活。試合後に涙も流した男の雄姿は世界中へ拡散され、多くの人たちへ感動を与えた。

 その後ローズはデトロイト・ピストンズ、ニックスを経て、2023-24シーズンに大学時代を過ごしたメンフィスへ帰還し、グリズリーズの一員としてコートに立つも、2024年9月26日に現役引退を表明した。

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